日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

ふるさと喪失

私は岩手県の玉山村出身ですが、この村は「平成の大合併」で盛岡市に含まれることになりました。
旧玉山村の面積は397平方キロで、人口は1万4千人余りでしたが、現在の盛岡市は人口約30万人,面積886平方キロですので、面積で見ると45%、人口で見ると5%弱となります。

合併する旧村側の狙いは、財政赤字が30億円を優に超えており何年かのうちに50億円に達する見込みであったことから、合併債等を通じ解消させていくというものでした。長引く不況の下、村内の主要な製造業工場が次々と撤退してゆく状況にあり、税収の見込みが立たなかったことが直接の引き金となったわけです。
一方、合併に際しての盛岡市側のメリットとしては、地方交付税の配分に際しての面積割り当て等、財政面を中心とした制度上の利点が様々あります。

合併後、旧玉山村・玉山区の地域づくりは、盛岡市の一部として行われるようになります。
しかし、政策方針の決定は議会で行われ、住民の代弁者たる議員を選ぶのは得票数。
すなわち玉山村は最大で5%程度の発言力しか持ち得ません。

市の45%の広大な面積に5%の住民が住むという状況は、生活環境のうえで旧市部とは天地の隔たりがあります。
「1人ひとりは平等だから、1人1票」という考え方は、そのことだけ取り上げるのであれば常に正しい理屈でありまさしく社会正義そのものです。
小泉政権では様々な分野に置いて、「社会正義を振りかざした自由化」が行われましたが、実質的に単に破壊するばかりで新しい展望や指針は何ら示されていませんでした。
しかし「平等」や「自由」が基準となりうるのは、あくまで各々の条件が同程度の場合ではないでしょうか。

統一地方選挙では、旧村議会の一致団結が得られず、当選できた地元候補は2人だけでした。
たった2人で、45%の住民生活環境の防衛を主張してゆかねばなりません。
「わがふるさと」は大ピンチです。

☆読売新聞より(2007年4月23日14時35分)☆
定数42に58人が出馬した盛岡市議選。昨年1月に盛岡市編入合併された旧玉山村地区からは、現職7人と新人1人が出馬したが、22日の投開票の結果、当選者は現職2人にとどまり、6人が落選。18人いた旧村議は9分の1になった。 
今回の最下位当選者の得票は1796票。旧村最後の村議選(2002年)のトップ当選者の得票の3倍以上が必要だったが、少ない地域票を奪い合う形となり、当選ラインに届いたのは、大半の引退議員の地盤を引き継いだ竹田浩久さん(52)(無所属)ら2人だけだった。
落選陣営からは「(旧村部の)候補者があと2、3人少なければ……」との声が聞かれた。