日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第85夜 ウェデンボーという老人

気づいたときには、テーブルの反対側に老女が座っていました。
顔を伏せているので、長い白髪が前を覆っています。
「この人、誰?なぜウチにいるのだろ」
そう思うと同時に老女が顔を上げます。
顔を見ると「老女」は間違いで、老人でした。髪が肩まであるので、女性だと思い込んでいたのです。

「おお、お前か。久しぶりだな」
私を知っているような口ぶりです。
「恐縮ですが、どちら様でしたか?」
「ウェデンボーじゃよ」
ウェデンボー?まったく記憶がありません。

「忘れたか。もう2百年は経つのだから無理も無い」
2百年。こりゃまたずいぶん昔の話です。てことは前世かそのまた前世で、憶えているわけがありません。謎は解けたけど。

「お知らせメールってのを出しといただろ。お前たちの言い方をまねすれば、だが」
「お知らせメール?」
「白くて丸い、あの世への窓のこと」
ああ、オーブのことか!
道理で今年はやたら写真に写ったなあ。

「そうですか。オーブメールは貴方でしたか」
「そうじゃよ。昔のよしみでお前に教えておこうと思って」
教えとく?
「もうすぐ最後の審判が始まるからな」
最後の審判。それって、もしかしてこの世の終わりのこと?

「あ、ビックリした?気にせんでいいんじゃよ。最後の審判ってのは、あの世の話でいわゆる霊界の秩序再編のことだから。100年に1度か2度はあるから、いつものこと」
「天変地異が起きるってわけじゃあ?」
「そりゃ多少のことは起きるさ。前の時には世界中で戦争が起きて、何百万人か死んだ」
それって、第二次世界大戦のことなのでしょうか。

「日記みたいな予定表を書いたヤツもいたけど、読むほうがきちんと読んでくれんでな。今度の審判だって、1997年ではなくてその12年後の7の月じゃ。土台、西暦の当てはめ方がまちがっとる」
1997年?それってノストラダムスの予言のことでないの。

「12年のズレがあるってことは、アルマゲドンは正確には2009年の7の月ですか」
「うんにゃ。来年さ。地震だって前兆や余震があるはずだろ。お前らの勘定で言う2008年が本格的な始まりになる」
ここで一服入れ、ウェデンボー氏に紅茶を出した。
老人はカップを両手で覆うように持ち、飲み頃になるのを待っている。

(「老人」と書いたが、目の前のウェデンボー氏は老人だったり壮年だったりと、外見はめまぐるしく変化している。言葉遣いも見かけに応じて変化するのである。)

「ところで、アルマゲドンにはどんなことが起きるのです?」
最後の審判では善霊・悪霊がごたまぜになっている霊界に秩序がもたらされる。それと同時に地獄の蓋が開き、地上にいるたくさんの人間が吸い込まれる。現世では天災や飢饉に加え、戦争も起きる。黙示録は知っとるのう?」
老人はここで紅茶に口をつけた。
「地獄の蓋はもう何年も前から少しずつ開いている。それで、あちこちで戦争が起きるのだよ。自分らが押さえている原油の値段を上げたいから、大量破壊兵器だナントカ言って産油地域を攻撃したりするとかね」
イラク戦争は地獄の亡者のなせる業ってわけですか。

「おお、でも本番はこれからじゃよ。来年はとりあえず、旱魃地震津波
津波のことは、沢山の予言者が指摘してますね。9月頃に太平洋地域で100万人規模で犠牲者が出るという話で」
「あくまで霊界での変化の余波だから、どの程度の波及効果になるのかはわからんが、地震津波の規模が小さければ旱魃の被害が大きく、それも小さければ戦争が起きミサイルが飛ぶなんてことも」
ガタピシ地殻変動のように動いてしまうって感じでしょうか」
「そうそう。いつ、どういう風に死ぬかはどうでもよく、結果として大量に死ぬってこと」

向かいに座るウェデンボーという「少年」は、カップの紅茶を勢いよく飲み干した。
「それで貴方がすべきことは、なるべく多くの、眼が開き耳の聞こえる人間たちにこの事実を伝えてあげることなのです」
ええ?それって、えらく大変なことじゃない。誰1人信じないぞ、そんなこと。

「お前が今の状況を不審に感じているってことは、他にもお前みたいな仲間がいるってことじゃよ。そういう人だけに伝えればよろしい。神は自ら助くる人を助く、とかナントカ、ご都合主義のことわざを、お前たちだってよく使うじゃろ。地獄にはまだだいぶスペースがあるし、数億人の単位だって引き受けられる」
ウェデンボー氏はいつの間にか、また老人の姿に戻っていた。

ここで覚醒。
ウェデンボー氏ですか。
目覚めた後、しばし考えて、それがスウェーデンボルグだってことに気づきました。