日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎サンマの食べ方

◎サンマの食べ方
 テレビドラマの『柔道一直線』が放送されていたのは、もう半世紀前だ。
 その十数回目の回でサンマが出た。
 主人公の桜木健一の家が魚屋なのだが、ライバルの鬚面の男が家に来て生活を共にするようになる。
 高校生なのに顔中が鬚面で、子どもながらに「こいつが高校生かよ」と思ったが、桜木健一だって23歳くらいで、主要なライバル役の「こんどぅおう正臣」なんかは26歳くらいだった。ある意味、バランスが取れていた。...
 その熊男は、確か役名も「熊田権三」みたいな名前だったが、初期のライバルとして既に倒されていたいた。しかし、「熊田」は諦めず、「敵に勝つためには、敵を知ることから」と桜木の家に押しかけて来たのだ。
 これはハルク・ホーガンが「猪木を倒す」目的で猪木の試合のセコンドについたのと同じ理屈だ。
 その「熊田」(仮)が桜木健一と一緒に飯を食っていたが、食卓を見て「あること」に気付く。
 ここは「これだ」と言ったような気がするが、何も言わずに帰った気もする。さすが半世紀前のドラマで記憶が不確かだ。

 桜木健一は既に「熊田」を侮るようになっていたが、その後の練習試合で急に勝てなくなった。
 「なぜあいつは急に強くなったのだろう」と首を捻ったが、どうしても分からない。
 すると、母親がその理由を説明してくれた。
 「熊田君はお前の食べ方を見たんだよ」
 桜木健一は魚屋の息子だから、サンマには食い慣れている。だから、食い方が雑になり、汚くなっている。貧乏な家に育った熊田は丁寧に骨だけを残して食べていた。
 そこで熊田が気付いたことは、「当たり前のことをおろそかにしてはいけない」ということだ。
 熊田は基礎練習をきっちりやることで活路を見出したのだった。
 そのことを知り、桜木健一は「熊田に教えられた」と敬意を示すようになる。

 なかなか良い回で、子どもながらに「良い話だ」と思った。
 当たり前の話なのだが、子ども向けにはちょうど良い。そのせいで今もよく覚えている。
 母ちゃん役のナントカ千恵子さん?もこの頃のドラマの「母ちゃん」役の常連で、魚屋とか八百屋役でよく出ていた。

 で、改めてサンマの話になるが、あの回に熊田が食ったサンマの画像が一瞬出たのだが、かたちを保ったまま、きれいに骨を残していた。
 よく考えると、「あんな食い方は絶対に無理だ」と思う。
 サンマは小骨が多く身をはずすのが面倒だが、骨自体は細いからお腹辺りは骨ごと食べる人が多いと思う。だから、サンマを奇麗に食べた後は「背骨だけ残っている」のが普通なのだが、その時はサンマの骨格がそのままで身だけ無くなっていた。
 アシスタントが意識して丁寧に身を外したからそうなったので、食べ方としてはありえないと思う。

 食がめっきり細くなり、朝は納豆飯、夜はサンマの日が続くが、実際それくらいしか食べられない。
 毎日サンマを見ていたら、はるか昔のことばかりが思い出される。

 ところで、今のドラマは好奇心を煽るものばかりで、あざとさが先に立つ。
 もう少し子どもに生き方やものの考え方を教えるものがあっても良いと思う。
 正直、もう20年はテレビドラマを観たことが無い。大人が観るには底が浅くてつまらないからだ。
 近藤正臣さんは、もはやかなりの高齢のはずだが、今はどうしているのだろう。
 「あの人は今」みたいな番組に出て、足の指でピアノを弾いて欲しいもんだ。