日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎スーパーのパン屋

◎スーパーのパン屋
 家人の知人がパン工場に勤めているとのこと。
 何百人かの従業員がいて、毎日、パン生地を作っている。
 主にパン生地をこね、整形して出荷するらしい。
 行き先はスーパーで、スーパーでは焼きたてのパンを売っているところがよくあるが、そういうところに卸す。
 スーパーの店舗でやるのは、ただ「焼く」だけ。
 首都圏では、3つか4つ系列の「パン工房卸会社」があって、ほとんどのスーパーでは、そのいずれかを利用しているらしい。
 近所のスーパーについて調べると、大体、2箇所の卸会社から生地を配送して貰っている。

 最大の疑問は、系列が少数なのに、「パンの味が違う」ことだ。
 焼くのはスーパー各店舗で雇った人だから、やはり個人のセンスが反映される。
 もちろん、「何を何度で何分」というマニュアルはあるだろうが、気温や湿度によって臨機応変に対応する必要がある。
 その辺の習熟度によって、パンの味が大きく変わって来るとのことだ。
 ここは「味が微妙に変わって来る」ではなく、「全然違う」が正確な表現だ。
 パンを美味しく焼くにはやはり熟練がいる。

 先日の台風の時、知人は上司から「仕事に出てくれ」と言われたらしい。
 スーパーに限らず、コンビニに至るまで、パン棚が空になったが、要するに「作ればそれだけ売れる」ということだ。
 普段の3倍4倍は売れるのは間違いない。
 そこの上司は「出られない者はクビにする」とまで言ったらしい。
 働いているほうは、もちろん、「無理です」と答えた。
 理由は簡単で、「交通機関が止まっている」という単純にして物理的な理由だ。
 当たり前だ。
 それに、従業員だって、自分の家が流されるかもしれない危機にあった。会社は下町方面で、従業員の自宅も土地が低い。

 そういう時の対処法には定式があって、「自発的意思に任せる」というものになる。
 「台風で大変だと思うが、今が最大のビジネスチャンスだ。出られる者を募る。会社に泊まって働いてくれるなら、割り増し手当てを出す」
 それで体制を眺め、可能な限り稼動させればよい。
 誰もが喜ぶ道を選ぶのが筋だ。

 「来なけりゃクビ」は最悪だ。全体が見えていないことが一目瞭然で、こういう人は会社経営には向かない。