日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎再び十月桜が咲く(493)

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三月三十一日撮影

◎再び十月桜が咲く(493)

 看護師のKは、完全に私と同類だ。

 本人が気付いているかどうかは知らないが、時々、幽界の住人を連れて歩いている。

 おそらく寄り付かれ易いのだろう。

 火曜日に病院に行き、Kを見たが、背後に「女」が寄り付いていた。

 一瞬だが、鮮明な姿を目視したのだ。

 「あれでは、さぞ体が重いだろう」

 Kが近づいた時に、さりげなく声を掛けた。

 「今は体調が悪かったりする?」

 すると、Kは「そんなことはない」と言う。

 「でも、皆に『顔色が悪いよ』と言われるんです。どうしてかな」

 やっぱりね。

 詳述するわけには行かない状況だから、ただ「気を付けろよ」とだけ伝えた。

 

 病院を出て、買い物をしたが、やはり神社に行くことにした。

 「今は『不要不急の外出を避けろ』と言われているが、要・急だろうな」

 幸いそんなに離れていないし、この日は雨だし、人は少ない。

 

 この日ははっきりと目視したのだが、目にしたのは髪がボサボサの女だった。

 死んでから、割と長い時間が経過しているらしく、感情のようなものが薄れている。

 「でも、俺が気付いたということは」

 概ね先方もこっちに気付く。

 「要・急」というのはそのことだ。私の存在に気付けば、大体はこっちに乗り換えて来る。「自分を見てくれる」のであれば、そっちの方が居心地が良い。

 これは生きている人間と同じ。

 

 神社の境内に人はまばらだった。

 先日の雪の影響か、早くも桜が散り始めている。

 おまけに十月桜も咲いていた。やはり降雪の影響なのか、スイッチが入ったらしい。

 

 神殿前で写真を撮影したが、この時期だし、天気も悪い。

 画像に「ここがこうで」と指示しても、それと分かる人はいないと思う。

 だが、私の後ろには隊列をなしてついて来ている。

 思わず苦笑した。

 「Kどころか、俺の方が大変じゃないか」

 

 いつも目視し難い画像を「ここがこうで」と指示するが、声も出ているということ。

 視覚だけでなく、聴覚もほんの少し広いわけだが、そういうのは説明が困難だ。

 真後ろには、やっぱりKの後ろにいた「女」が寄り付いていた。「ううう」みたいな唸り声が漏れているので、かたちがはっきりしなくともそれと分かる。

 ま、こういう時にどうすればよいかは重々承知している。

 

 もはやKには、具体的な対処の仕方を教えようと思う。

 「さしたる理由が無く調子が悪い」みたいなことはそれで無くなる。

 今のような時勢では、そのままにしておくと、いざという時に足を掬われることにもなりかねない。

 

 画像で認識するのは難しいが、ひとまず記録として留める。