日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎さすがアベノ・レトリック

◎さすがアベノ・レトリック

 先ほど、緊急事態宣言が出された。

 興味深いのはやはり経済支援だ。

 

 数日前には「住民税非課税世帯や収入が急激に減った世帯」と言っていたのに、今は「収入が減って非課税水準となった世帯」にすり替えられている。

 文言は「や」と「で」しか違わないのだが、内容は全然違う。

 要するに、静態ではなく動態の話だ。

 この話だと「2月から急激に収入が減って」かつ「非課税水準まで落ち込んだ」世帯が対象となる。

 (この辺、解釈を誤っている人が多いが、安倍政権のスポークスマンであるタザキ氏が、今朝、分かりやすく説明していた。)

 要するに「生活保護受給世帯」を含む「住民税非課税世帯」だけでは対象にならない。

 「2月から収入が減った」ことを証明できる世帯主であることが必要だ。

 その理屈だと、それ以前から生活に困窮していた非課税世帯は端から対象外となる。

 

 からくりはこう。

 欧米、アジア諸国の状況を見て、とにかく「30万円」という額を出したかった。シンガポールでも、全国民対象に14万円を出している。韓国でもそれなりの額(8万円か9万円?)。

 金額的にこれより下には出来ないから30万円。要するに見栄だ。

 しかし、財政支出は絞りたい。

 そこで「世帯」としたのだが、それでは親元を離れた学生も「単身世帯」になり、また仕送りベースの暮らしをしていると「非課税」になる。「家族五人」の世帯と「学生一人」が同じ扱いでは不公平感がある。

 だから、何とかこの手の人を削りたい。

 

 よし定義を工夫しよう。高級官僚は有名大学出だし、そういうのは得意だ。

 そこで「以前の収入が2月以降に減って非課税となった世帯」という珍案を捻り出した。これなら、学生を含む単身者を減らすことが出来そう。

 だが、動態にしたせいで、生活保護世帯や既に非課税となっている世帯が対象外となる。

 これでは本当に困っている人を「捨てる」ことになる。

 

 当初の考え方では6百万世帯から2千万世帯が対象だったのだが、「2月から5月までに収入が減少」し「非課税水準まで落ち込んだ」証拠を出せる世帯主となると、かなり絞られる。

 まさにピンポイントで、針の穴を通すような条件の設定だ。

 自治体での手続きの煩雑さを考えると、「一人あたり5万円」みたいにした方が簡単だし手間がかからない。一人5万なら、5人家族で25万、前述の学生単身世帯で5万だ。はるかに公平感がある。自治体だって、機械的に処理できるから簡便だ。

 

 「国民悉皆給付だと時間が掛かる」と言っているが、まさに詭弁だ。

 「ひとつ一つを審査する」方がはるかに手間が掛かる。

 相変わらず、コメントを美辞麗句で飾るが、内容がお粗末。もちろん、作文は「優秀な官僚」が行っているわけだが。

 

 大体、「緊急事態宣言」を出して、「極力、人に会うな」と言ってるのに、役所の窓口に並ばせるのは、言行不一致だと思う。