日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第785夜 病棟で

◎夢の話 第785夜 病棟で

 4月11日午前1時に観た短い夢です。

 

 我に返ると、病院のベッドに仰向けに寝ていた。

 「俺は・・・。入院していたのか」

 頻繁に病院に通ってはいるが、いつもと雰囲気が違う。

 なるほど。重篤な状態で、意識を失っていたらしい。

 周囲を医師や看護師がせわしなく歩き回っている。

 

 人が少なくなった頃合いを見て、半身を起こしてみた。

 「ありゃま。見渡す限りベッドだ」

 先が見えぬほどベッドが並んでいる。

 どのベッドにもチューブが下がっているから、患者たちは皆、だいぶ悪いらしい。

 視線を前に戻すと、向かい側のベッドが目に入った。

 男で五十歳くらい。俺と同じくらいだな。

 (夢の中の「俺」はそれくらいの齢だった。)

 男は目を覚ましており、俺のことを見た。

 口にはチューブ、それと上掛けの下からも数本のチューブが出ていた。

 

「ありゃ。コイツ。誰だっけな」

 どこかで会ったことがある。

 知り合いの筈だが、それが誰だったか、どうしても思い出せない。

 するとそいつが自分の口のチューブを外して、俺に話し掛けて来た。

 「お、お前も」

 「うん。参ったよな」

 やはり知り合いらしい。

 それなら、割と最近の知人なのか。トシを取ると、新しい情報の方が先に失われるというものな。

 

 「俺はこんなことに」

 男が掛け布団をめくる。すると腹にチューブが繋がれていた。そのチューブには真っ赤な血が通っている。

 「そいつはヤバいな。お前」

 でも、そいつと俺は同じ病棟にいて、ほとんど同じ位置に寝かされているわけだ。

 俺も大差ない。

 

 でも、コイツは誰だっけな。

 どうしても思い出せねえや。

 ここで俺はもう一度、仰向けに体を倒した。

 しんどくなって来たのだ。

 「どうやら、さっきまで意識を失っていたようだ。今は目を覚ましたが」

 消える直前の蝋燭みたいに、わずかな時間、燃え上がっているのかもしれん。

 

 ここで微かに記憶が蘇る。

 「ああ。向かいのヤツは」

 少し前に死んだヤツに似てるよな。俺は葬式にも出たっけ。

 「てことは、本当はもう俺も」

 ここで覚醒。