◎古貨幣迷宮事件簿 「八戸方面の主要貨幣のグルーピング」
科学的方法論の基本は「分化と統合」である。少し言葉を替えると、共通性と独立(個別)性となるが、あるものと他のものを認識する時、何らかの基準に基づいて「同じグループ」と「そうでないグループ」とを分けることを言う。
そうなると。「分化」と「統合」を見ることは、見方が違っているようだが、しかし同時に行う手順であると言える。
八戸銭については、これまで「葛巻鷹ノ巣座」と「目寛見寛座」の存在を認識し、「舌千類」は双方の可能性があると論じて来たわけだが、果たしてその観察の仕方に科学的根拠があるのかどうか。
今回は試験的にこれを確かめてみることとした。
そこで、まず八戸方面銭の銭種について、代表的なものを挙げ、「寛」「永」「通」「寶」の文字の類似性について、カテゴリー区分を加え、「類似した性質」を持つグループの有無を観察するものとした。
予め断っておくが、今回の視点は、「個別の銭」について論じるものでも、「銭種」そのものについて観察するものでもなく、単純に「似ている者同士を並べ、群として眺めた時の見え方」を問題とするものである。
まず、個々の銭種について、銭種区分を解除し、銅烈なサンプルとして認識した。
次に文字ごとに、近似した箇所のあるものについて、判別を加えた。(個々の事由の表記については記述を省略する。)
ここでは、似ているかどうかを目視確認するものなので、そのこと自体に尺度としての意味はあまりない。
次に、判別した「類似カテゴリーA~C」ごとに、カウント数の重みをもとに、配列を替えてみた。
ここで、従来の銭種区分を名称添付した。
その結果分かったことは、ひとまず「3つのグループが存在する」ということである。
一つ目が「十字銭」から「舌千大字」まで。
二つ目が「背千正様」から「舌千大字」「舌千小字」まで。
以上の二つは、重なる部分がある。
三つ目が「四年銭鋳写母」と「見寛」で「舌千小字」とも重なっている。
目寛はいずれからも独立している。
以上は概ね想定された通りであった。
有意な情報と言えるのは、「面文の類似性から見て、少なくとも三群が存在する」ということだけである。
現段階では、具体的に「どの銭種がどう関わっている」という言質は取れないのだが、同様の手法で、観察者およびサンプルを替え、大量観察することで、仮説を立てることが可能になる。
また、面文の特徴だけでなく、輪側の処理方法や金室のカテゴリーを付与すれば、見え方を多少は今より精緻化出来ると思われる。
注記)いつも通り、一発殴り書きで推敲や校正をしません。不首尾は多々あると思います。既に収集を止めており、ヒントを提供する意味で記すものです。