日刊早坂ノボル新聞

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◎夢の話 第802夜 封筒が無い

◎夢の話 第802夜 封筒が無い

 7月12日の午前3時半に観た夢です。

 

 我に返ると、葬儀場の入り口だった。

 俺自身も礼服を着ている。

 誰かが亡くなり、その葬儀に来たらしい。

 大きな葬儀で、参列者がざっと四五百人はいる。

 十人ずつお焼香をしても、かなり長くかかりそう。

 

 ここで胸のポケットに手を当てた。

 「香典を忘れずに入れてきているだろうな」

 きちんと封筒があるが、何やら少し厚い。

 よく知らぬ人への香典に何十万も払うのか?

 「おかしい」

 すぐに取り出して、封筒の中を検めると、その封筒には小学校の娘が学校から持ち帰ったプリントが入っていた。

 「イケネ。これじゃないや。不味い」

 プリントの一番上には、娘が書いた「お父さんへの手紙」が入っていた。

 「おとうさん。いつもありがとう」

 うへへ。ちびっこの娘がここまで大きくなったか。

 

 「てなことを考えている場合じゃねえや。すぐに香典を用意しないと」

 ところが、最近は完全にキャッシュレス生活を送っている。

 支払いは各種カードで、財布の中には小銭と千円札数枚しか入っていない。

 「駅前まで行き、CD機で金を下ろそう。コンビニでもいいや」

 

 外に出ると、どうやら郊外の町だったようで、周囲は宅地と空き地だけだ。

 まるで、私鉄のかなり端っこの方にあるような町だ。

 「仕方ない。駅まで行こう」

 速足で歩き出す。

 幾つかの角を曲がり、駅らしきところに着いたが、駅前に店がほとんどない。

 どうやら新駅のようで、中心は別のところらしい。

 駅前に街路図があったから、それを見ると、5百メートルくらい離れたところが旧商店街だった。

 

 ひたすら歩き、その通りに入った。この時点で既に汗だくだ。

 通り沿いに店が並んでいるが、いずれも昔からあるような専門店ばかりだった。荒物屋や畳屋みたいな店ばかり。

 信用金庫があったので、そこに入ってみたが、俺の銀行とは繋がっていないところだった。

 「ここは確かクレジットで出金するのも駄目だったよな」

 うろうろ歩いていると、最初の葬儀場の前に出た。

 周囲を一周歩いたらしい。3キロか4キロだな。

 中を覗くと、まだ半分にも到達していなかった。

 

 「よかった。反対側を探そう」

 手ぶらではお焼香にも立ち難い。

 道の反対側は、小さな町工場だらけだった。

 アーケードみたいな集合店舗があったのでそこに入ってみた。

 CD機のひとつも置いていなけりゃ、商売にならないだろ。

 ごみごみとした通路を歩いて行くが、通路は狭くなるばかり。

 これでCD機を探しても・・・。

 

 すると、突然、何かの店の前に出た。

 庇の中には女性が三人いて、忙しく立ち働いている。

 その中のひとりに、俺は見覚えがあった。

 七十歳くらいのバーサンだ。

 「この人はどこで会ったっけな」

 すると、先方も俺のことを認め、声を掛けて来た。

 「あら。随分久しぶりだね」

 他の女性が顔を向ける。

 この二人も見た顔だ。

 「ここでお会いするとは思いませんでした」

 でも誰だっけ?

 

 ここでパッと思い出す。

 「あ。横浜の叔母さんだ」

 叔母さんは良い人だったっけな。

 「でも、かなり前に死んだよな」

 ということは、これは夢か。俺は夢の中にいる。

 

 ここで急に胸が苦しくなる。慌てて、何キロも走り、心臓に負荷をかけたせいで、発症しているのだ。

 「こりゃ、葬式どころではなくなりそうだ」

 ここで覚醒。

 

 こういう夢の時は「実際に発症している」ことが多いのだが、目覚めてみると、その直後のような重苦しさが残っていた。

 あのまま、あの町で暮らすことにならずに本当に良かった。

 

 「お父さんありがとう」で、現実の娘を思い出し、急いでメールを打った。

 「東京で感染者が増えているから、気を付けるんだぞ」

 冷静に考えると、この時点ではまだ四時前だ。

 迷惑な父親だよな。