日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎エレベーター事件の顛末(517)

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令和二年七月二十二日撮影

◎エレベーター事件の顛末(517)

 今日は休日だが、私はそういうのには関係なく木曜が通院日になっている。

 早朝に病院に着いたが、一般外来はやっていないので、ロビ-は真っ暗だ。

 少し緊張しながら、エレベーターに乗り込む。

 「何か言いたいことがあるなら聞くが、あまり驚かせないでくれ」

 これを口に出して言う。

 しかし、何事もなく三階に着いた。

 エレベーターを出たところで、赤外線カメラで撮影したのだが、その直後に背後のドアが開き、看護師長が出て来た。

 フラッシュを見たようで、「何がありましたか?」と訊いて来た。

 先日の看護師の悪夢を解決した話が伝わっているらしい。

 

 不味い事態だ。一番不味いのは、「変態オヤジ」があれこれ撮影していると思われることだ。

 マニアックな者は更衣室からトイレまで撮影しようとする。相手の老若は関係ない。

 そこで仕方なく、看護師長がベッドに来た時に、事実を伝えた。

 先にこちらが確かめる。

 「一昨日以降、エレベーターの不具合がありましたか?」

 やはり返事は「ない」だった。

 そこで、エレベーターが数分止まったこと、「ドアが閉まります」を十回ほど連呼したことを伝えた。

 すると、師長は「ああ。たまに変なことがありますね。夜の当番の時にエレベーター勝手に上り下りしていることがあります」

 「病院は最も静かなところで、幽霊が出難い場所だ。世間のイメージとは真逆だが、それも患者にとっても、元患者の死人にとっても、等しく『病院は長居したくない場所』だからなんだよ。私はむしろ駅なんかよりはるかに穏やかに過ごせる」

 「そうですね。私は何かが起きた経験がほとんどありません」

 「エレベーターが止まったのも、電気系統の異常だと思う。だが『ドアが閉まります』の連呼は気になるから、別の要因だという可能性を消すために撮影したわけなんだよ」

 要するに「逆説の棄却」だ。他の要因の可能性が無くなれば、残るのは「電気系統の異常」だけになる。

 

 ついでに訊いてみた。

 「死後の存在があるというのを一発で信じられる画像があるけれど、そいつを見てみますか?」

 すると、看護師長は少し思案して、「止めときます」と答えた。

 「だって、それをきっかけに、頻繁に見えるようになったりすることがあるんじゃないですか?」

 「ありますね。正確には『幽霊を見る』のではなく、相手側から『見られる』ようになるということだけど。普通は幽霊の側も生きている人のことが見えない。こちらのことが見えれば、どんどん寄って来る。先に進んで良いのは、そういうのが来るかもしれんという覚悟がある人だけだ」

 そして、その後は人生の半分近くを、そういうことの処理に費やすことになる。

 

 治療が終わり、着替えをして、病棟を出た。

 エレベーターに乗ったが、別段、何も異変が起きない。

 「やはり単純に電気系統の不具合だったか」

 それが一番望ましい展開だ。

 ところが、出口のところで、傘を忘れていたことに気が付いた。

 もう一度、病棟の入り口まで行き、傘を持って再びエレベーターに乗った。

 既に安心していたので、警戒心がなく、ガードが下がった状態だったのだろう。

 「閉」ボタンを押すが、うんともすんとも動かない。

 

 「ありゃりゃ。また来ちまったか」

 こりゃどうやら・・・。

 ボタンを続けて押すが、まったく反応が無い。

 そこで、声に出してこう言った。

 「もう分かった。俺がご供養してあげるから、この辺で一階に下ろしてくれ」

 その瞬間、例によって、「ドアが閉まります」を数回連呼すると、ようやく扉が閉まった。

 おまけに、警備に繋がる呼び出しブザーが「ビーイイイイ」と一階に着くまで鳴っていた。

 一体、誰が押しているんだよ。

 

 まるで出来の悪いホラー話みたいだが、実際に起きたことだ。

 「ドアが閉まります」の連呼とあの警告音は、もの凄く不快だが、原因が分かれば対処のしようがある。

 相手が「助けて欲しい」と思っていることも伝わった。

 帰宅して、画像を確かめると、煙玉状の玉が幾つか写っていた。ただ、この状態では、何とも言えない。これはむしろ、通常のカメラの方が分かり良かったと思う。

 ただ、他の人がどう思うかはどうでもよい。いずれにせよ、私が見ているものと同じものが見える人は僅かだ。

   

 「俺には直接救い上げることは出来ないが、ご供養を施して慰めることなら出来る。ちゃんと分かったから、もう騒がなくとも良いよ」

 こういう現象を生きている者がどう考えるかなどどうでもよい。

きちんと死者が「そこにいる」と分かる者が寛解(成仏)の手助けをしないと、迷える死者はずっとそのままだ。

 

追記)解釈にぶれがあるようなので、当該箇所を削除した。

 他の人がいる時には何も起きないのに、自分独りが乗る時だけ、機械が停止する。

 そして、動き出す直前に「ドアが閉まります」を繰り返し連呼する。

 こういうことは前にも経験したことだが、やはり当初は「薄気味悪い」と思う。

 慣れているつもりだったが、やはりビビッていたらしく、判断にブレがあった模様だ。

 まずは「平常心でいること」が必要だ。