日刊早坂ノボル新聞

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◎旅客機の乗客がマスクを拒否する理由

◎旅客機の乗客がマスクを拒否する理由

 先日、相次いで旅客機の乗客が「マスク着用を頑なに拒否した」ため、機を下ろされる出来事があった。

 殆どの人は「何てモラル意識に欠ける人だ」と、マスクを拒否した人を罵った筈だ。

 

 私はまったくそうは思わない。

 あれが「モラルにもとる行為」に見えるのは、日頃より「健康で、何不自由のない暮らし」を送っているからだ。

 その乗客がマスクを拒否する理由は「苦しいから」だ。

 「旅客機」「息苦しい」とくれば、「気圧の変化」の影響があることは、誰でも容易に想像がつく。

 健康な人でも「エコノミー症候群」で、足がうっ血したり、息苦しくなることがある。

 それが「どうしても我慢できなくなる」理由は、「心臓病」だ。

 離陸して機が急上昇する時と、気圧が低い状態が長く続く時に、心臓に問題がある人は「狭心症」を発症しやすい。

 その中には「心不全」に至る人もいる。

 「息苦しさ」はその前駆症状だ。

 

 三十歳位の頃にハワイに行ったことがある。

その帰路の飛行機の中で、胸が苦しくなった。どうにも息苦しく、呼吸をするのも覚束ない。

 ただ、その頃は自分が心臓病だとは夢にも思わなかったので、「エコノミー症候群」だろうと思って、FAに言わず我慢した。

 他人に言ったところで太平洋上だし、何が出来るわけでもない。

 その時は何とか日本に帰国できたが、それから数か月後に、本格的な「心不全」を発症し、数分の間だが心停止を経験した。

 自身が「心臓病で、ずっと前からその症状が出ていた」ことに気付いたのは、その後のことだ。

 

 「わがままな乗客」は、「飛行機に乗ると息苦しい」という症状が繰り返し起きている。だから、さらに息苦しくなる要因となるマスクを拒否するわけだ。

 その人たちは、生活態度や考え方を改める必要はない。

 はっきりした理由があってマスクを拒否したのだが、たぶん、本人も自分が「心臓病のかなり進んだ状態」であることを知らない。

 その人が直ちにやらねばならないのは、「我慢してマスクを付ける」ことよりも、循環器科に行き診察を受けることだ。

 放置すれば、ほぼ半年以内に命に係わる発症をする。

 

 「健康」も「お金」も同じだが、「持てる者」は、「持たぬ者」に起きることがまったく理解できない。

 ある意味「傲慢」なのだが、こういうのは説明しても分からない。

 「持たぬ者」は、周囲が微塵も理解できないことを前提に防御措置を撒く必要がある。

 

 ちなみに、冒頭のケースでの対処策は簡単だ。

 乗客は「上空に行くと息苦しい」「できればマスクをしたくない」と事前申告すること。

 飛行機には「フェイスガード」(あの医療従事者が使う透明なヤツ)を備え、マスクが出来ない乗客に提供する。これは有償で良いと思う。

 こちらはマスクほど苦しくない。

 あとは空気の通りのよい席に移動させることだ。

 繰り返しになるが、「息苦しくてマスクが我慢できない」人は、「飛行機に乗る前に病院で診て貰うこと」が最優先だ。