日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎現世復帰(550)

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令和二年十二月十一日撮影

◎現世復帰(550)

 息子が大学に編入することになった。息子は志望校単願で受験勉強をしていたが、安全策を取り、直前で受験校を変更したのが逆に災いして、その安全策に失敗した。

 このため、意欲を無くし、「もう大学には行かない」と言い出したのが二年前だ。

 少し気を取り直して専門学校に通っていたが、やはりさらに深く専門的な知識を得たくなったらしい。編入試験を受け、大学に移ることになった。

 自分で奨学金のつてを探していたが、これも概ね貰えることになったらしい。

 貸与でなく支給なら親は助かる。

 だが、おそらく「大学院にも行く」と言うだろう。

 

 「となると、まだ死ねんな。軌道修正だ」

 長いこと、死ぬ準備をして来たような気がするが、最低でも「あと二年」は立っている必要がありそうだ。

 とりあえず、神社やお寺に報告しに行くことにした。

 まずはいつもの神社から。

 

 駐車場に車を入れ、歩き始めると、何故か悲しくなった。

 「私だけ残し、皆が死んでしまった」

 自身の愛する者たちが、先にこの世を去ってしまった。

 やりきれない気持ちになる。

 だが、数十メートルほど歩いていると、ふと気が付いた。

 「あれあれ。これって俺自身の感情ではないぞ」

 この数年では、母が死に、盟友のトラも死んだが、私は「独りぼっち」じゃない。

 と言うか、「独りぼっち」が宿命のひとつだから、別に平気だ。

 「となると、どこかで拾っていたか」

 煙玉がさぞ増えていることだろうな。

 

 冬の午後三時半で曇りだから、もはや薄暗い。

 こういう日には「あの世」の撮影は困難だ。十分な日光(赤外線)がないと目視が出来ず、カメラにも写らない。

 と思っていたら、僅かに煙玉が出ていた。

 室内の夫婦のものかとしばし考えさせられたのだが、煙玉は私の周囲に出ている。

 「こりゃ俺由来のものだな」

 そこで、先程のことを思い出した。

 やはりどこかで、迷っている魂を拾ったらしい。

 死んだ後に行き場が分からず彷徨っていれば、そりゃ心細い気持ちになるだろう。

 ほろほろと涙が零れる。

 もちろんのことだが、私自身には、涙をこぼす理由がまったく見当たらない。

 「ま、泣き疲れるまで泣けば、先に進めるようになるでしょ」

 女の子だな。たぶん、浦和で拾った女子だ。

 繰り返し、ご供養をしてあげることにした。

 

 「俺の方は現世に戻らないとな」

 最近、リンの除去薬で良いのに切り替えたので、肉魚をソコソコ食べられるようになった。お茶漬けと野菜の煮物ばかり食べているより、やはり元気が出るようだ。

 この調子で幽霊がほとんど出なくなってくれれば助かるが、家に戻ると、誰もいない二階でゴトゴトと音がする。

 ま、「別にフツー」だ。こんなので驚いてはいられない。