日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第972夜 味噌焼き握り

◎夢の話 第972夜 味噌焼き握り

 八月一日の午前四時に観た夢です。

 土曜午後から体調が崩れ、今日の午後まで寝込んでいたが、これは朝方にトイレに起きた時の直前の夢になる。

 

 どうにも食が細く、何も食べたくない。

 「夏場に食べずにいたら、秋口には起きられなくなる」

 何か食べられるものを探さねば。

 患者が食べるものと言えば素麵とかお粥だが、そんなのは余計に食べたくない。

 果物は食べられぬし、煮野菜なら「少々」だから、素材を選ぶのもひと苦労だ。

 

 「こういう時にお袋はどうしたっけな」

 母の患者歴は六十年近くだから、自身の経験で「凌ぎ方」を見付けていた。

 ここで母のことをあれこれと思い出す。

 母の実家は旧家で、建物自体が百三十年前に建てられたものだ。

 常居の天井は普通の家の二階の天井の高さにある。

 土間には竈があり、囲炉裏が家のそこここにあった。

 「台所の囲炉裏じゃあ、よく足置きで寝たよな。死なずにいて良かった」

 四歳の私は炭の焼ける匂いが好きで、囲炉裏の中に入って足置きに寝そべった。

 向かい側には曽祖父がいて、一升瓶を抱えて茶碗で酒を飲んでいた。

 そのまま居眠りをすることも多かったが、よく一酸化中毒にならなかったと思う。

 まあ、昔の家は隙間があったし、空間が広かったから、ガスが充満することもない。

 

 竈の近くには七輪があり、それに網を載せて、魚の干物などを焼いていた。

 すると、すぐに何かが焼ける匂いが漂って来た。

 「これは味噌が焦げる匂いだ。焼きおにぎりを作っているのか」

 母の背中が見える。

 味噌焼き握りを作るのに、母は何かを擂鉢で摺っていた。

 「なるほど。白味噌赤味噌を合わせているのか」

 ご飯を炊き、炊き上がったら少しだけ冷まし、合わせ味噌を塗り、炭火で焼く。

 「炊き立てのご飯を使い、炭火で焼くから美味いのだな」

 なるほど。母のレシピが少しだけ解けた。

 

 「これなら、ひと粒ひと粒のご飯の味が分かる」

 母の実家では米も味噌も自分の家で作っていたから、母は何と何を合わせればよいのかを経験で知っていたわけだ。

 「忘れぬうちに起きよう」と覚醒。

 

 目覚めてすぐに取り掛かったのは、「焼きお握り」作り。

 味噌はスーパーで買う一番安いヤツで、グルタミン酸を添加したものだ。

 だが、炊き立てを仕立てて焼くことで、普段とは違う味になる。

 七輪はあるのだが、これを使うと焼け焦げる匂いが周囲に漂う。少しでもそれを感じると、消防署に電話するバカがいる。(そういうヤツに限って自分ちの庭でバーベキューをして騒ぐ。)

 

 二日ぶりに食事をした。

 母は有難い。