9夢の話 第974夜 母
14日の午前0時に観た短い夢です。
郷里に向かう途中、各地の放射線量を計測しながら移動したので、片道五百キロを移動するのに二十時間以上掛った。運転するより、外で活動する時間が多いのだから、これは仕方が無い。
家に着くと、ちょうど夕方で、母が長椅子に座っていた。
「病院に行く筈だったから店の子に運転手を頼んだけど、なかなか来てくれない」
それなら別に問題ない。
「俺が連れてくよ」
「お前は帰ったばかりだし、休んでいればいいよ」
「なに、平気だよ。息子なんだし当たり前だ」
すると、母が支度を始めた。
俺は家の外に出て、車に向かおうとしたが、その前に家の周囲をひと回りした。
「ああ。ここは見たことのない家だ。それなら、俺は今、夢を観ているのか。あるいは、今、母が暮らしている家がここなのか」
母はこの家(夢)の中でも、病気をしていた。
しかし、どんな状態でも、親が傍にいてくれるだけで嬉しい。
「それなら、俺だってやすやすと死ぬわけにはいかんのだな。子どもたちが悲しむ」
母は死ぬ当日まで、自分の足でトイレに行っていた。
俺も必ずそうしよう。死ぬぎりぎりまで立っていよう、と思う。
ここで覚醒。
母が座っていた長椅子は、私が会社の経営者だった頃の応接セットだ。経営者時代は、よくその長椅子で寝た。
母も日中、疲れると、よくその長椅子に横になっていた。私と同じ寝方だ。
兄は母のものをどんどん親戚にあげているので、最近、「その応接セットは俺のだからね。。六十万以上したから、勝手に人にやるな」と注文した。
実際には、その長椅子が母との接点になったから、手放したくないということだ。
夢の中の母は、最期の日々と同じように、やはり弱っていたから、正直、かなりめげた。