◎夢の話 第979夜 アモンの宣託
夢の話第978夜の後、少し作業をして、再び眠りについた。
以下は第979夜となる。
ブログ記事をアップした時にドアを開けていたのは、「女」ではなくアモンだった。
アモンは見るからに妖怪顔だから、間違いようが無い。
「そう。私だ」とアモンが頷く。
私は「まだ俺は生きているから、仲間にはなれんよ」と告げた。
すると、アモンがつかぬことを言い始めた。
「お前。昔、俺に祈願したことがあっただろ。憶えているか」
「そりゃ何の話だ」
そこでアモンは昔語りを始めた。
これはお前が子どもだった頃の話だ。
お前の父親が東京の業者に騙され、黒大豆(鴈食豆)の代金を億単位で騙し取られた。ひとつ間違えば一家心中モノの事態だ。
お前も巻き添えで命を落としていたかもしれん。
父親は荒れに荒れ、最もぶつけやすい相手に当たり散らした。
もちろん、それはお前のことだ。
その時、お前はこう誓った。
「母親を苦しめたくないから、今は何もしない。だが、大人になり、母をあの世に見送ったら、その時がその業者に借りを返す時だ」
俺はそれをきちんと聞いていたぞ。
「そんなに昔から近くにいたのか」
するとアモンはさらに言葉を続けた。
「まだあるぞ。次はこの時だ」
そして、具体的な出来事について出来事を長々とあげつらった。
(ここは実名が無いと分からぬから省略。)
「さて、お前の母親は死に、父親は施設にいる。これから総ての借りを返す時だ」
そう言えば、私がコンサルタントになったのは、「いずれ東京のその会社を潰し、親族縁者を悉くこの世から消すため」だったな。
もちろん、怒りに任せてそう思っただけで、実際に手を下そうとは思っていない。
「会社の中を簡単に調べられるようになれば、苦境に落とすことが出来る」程度のことだ。実際、その会社の通帳の中身なら簡単に調べられる。そこはあこぎな経営コンサルだもの。コンサルなら当たり前だ。
「今はお前にとって願っても無い環境だぞ。何せお前は何もする必要が無い。俺が祟りを与えてやろう。お前はそれに同意するか」
私は少しの間考えた。
「それは、もちろん、アモンに対する俺の『借り』となる話だな。俺が死んだ後にそのツケを払うということだ」
「もちろん、そうだ。お前は名実ともに俺の仲間になるのだ」
なんだ。そんなことか。
死人を迎えに出て、安らかに通過出来る者とそうでない者を振り分ければよいだけだ。
そんなのは、とっくの昔に覚悟している。
現に私の後ろには、常に死者が寄り集まって来るだろ。
まだ私は生きているのに、数え切れぬ程の亡者が後をついて来ている。
外に出るだけで、幽霊たちに見付かってしまう。
「そりゃ別にオッケーだ。あの世で最も許されぬ罪は欺瞞だ。この世に欺瞞を撒いた者には因果応報の意味を教えてやるべきだ」
何せ、私自身は何もしなくて良い。総てをアモンたちが行う。
私自身はごく普通の暮らしを続け、残りの日々は僅かだろうが、普通に死ぬだけだ。
この辺は生きている者が想像するような、「善と悪」や「神と悪魔」みたいな構図とはまるで違う。あの世にはあの世のルールがある。
するとアモンが深く頷く。
「お前の意思を聞き届けた。では祟りの雨を皆に与えてやろう」
ここで覚醒。
アモンの仲間が与える罰は、その相手の死後が本番だ。
だが、もちろん、二代三代ともたずにその相手の根は絶える。
ホラー小説よりもはるかに怖ろしいのは、親族縁者に至るまで刈り取られるだけでなく、死後も苛まれることだ。
この世にホラー映画や小説みたいな怖ろしいことはない。だが、あの世にはもっと恐ろしい事態が待っている。ゾンビよろしく亡者の群れの仲間となり、あてもなく彷徨うことになる。
正義はそこで為される。
もちろん、以上は総てが夢の話だ。