◎秩父の紅葉
日曜の朝になり、家人が「紅葉見物に行こう」と言い出した。
「え。でも俺の財布の中は千円だよ」
正確には一千五百六十円だ。
「別にローソンのコーヒーとイレブンのサンドイッチでいいじゃない」
人生に浮き沈みは付きものだが、当方は上がり下がりが激しい。下がっている時でも、家人がまるで意に介さぬのは助かる。
幾度かは経験済みだから、別にどうということもない。
「何でローソンのコーヒーなの?」
「コンビニではローソンのが一番美味しい。※※とか▲▲は皆○○の系列だから、コーヒーが不味いよ」
そりゃホントか。この辺、当方はコンビニでコーヒーを買わぬから分からない。
「じゃあ、行って見るか」
まだ早いかと思いきや、秩父の季節は早く進むから、街道を外れ山の方に入ると、紅葉が始まっていた。
「中旬が見ごろだな」
「じゃあ、来週も来ようよ」
コンビニ二軒でコーヒーを買ったが、実際、ローソンのが美味かった。他は機械から自分で淹れるが、ローソンでは店員が淹れてくれる。人の手を減らすか、美味しいものを出すかの選択は経営側の判断だ。店員の手間が少し増える。人の手も増えるから、人件費も増えるということだ。
午前中に出て、午後二時には戻って来たから、渋滞も無し。
あれこれ詰め込まずとも、来週があるし、秩父は我らのホームだ。