日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎古貨幣迷宮事件簿 クイズ「この中で密鋳銭が何枚あり、どれが密鋳銭か?」

◎古貨幣迷宮事件簿 クイズ「この中で密鋳銭が何枚あり、そしてどれが密鋳銭か?」

 (密鋳銭の数)①1枚、②2枚、③3枚、④4枚、⑤5枚、⑥6枚、⑦7枚、⑧ゼロ

 

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密鋳銭クイズ

 正解は⑤5枚。風貌は文政だったり明和だったりしているのだが、作り方が異なるのでそれと分かる。近道は輪側の整え方になる。

 縦鑢は①と③しかない。

 密鋳銭の場合、大掛かりな装置を使わずに、棹通しした後、鑢(砥石)の方を動かすので、不規則な「斜め鑢」になることが大半だ。

 「縦鑢」の仕上げ箇所も無いわけでないが、概ね湯口やバリを落としたところになる。線条痕が揃わないことがポイントだ。

 ただ、ルーペではよく分からないので、詳細を見るにはマイクロスコープが必要になる。

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面背と輪側の組み合わせ

 ②などは文政銭の差に紛れていれば、密鋳銭とは思わない。直接触った時に、ほんの少しの違和感を覚えるだけだ。銭径は文政銭の平均的なサイズよりむしろ大きいのだが、縁を厚く加工しており、結果、輪幅が若干拾い。どういう手段を使って広げたのか、具体的な手段は分からない。地金の特徴と輪幅加工の点から見て、浄法寺系の銭だと思われる。収集家の目を引く品ではないが、鋳銭技術の上では面白い。

 ま、裏を見れば本銭でないのはすぐ分かる。

 

 ④の地金は「鹿角の赤ペラ銭」に近く、赤い色合いで文政銭にそっくりだ。

 しかく、古色は黒くなり、全体が古色を帯びると真っ黒になる。

 ⑤は調度このような「薄っぺらな青銭」めいた後出来の品がある(玩具)。

 またタングステン合金の偽物もあるわけだが、この品は実際に使われた密鋳銭だ。

 製造手法的には違和感はなく、単純に見すぼらしいだけ。地金は白いが古くなると明和に近くなるようだ。銭径は著しく小さい。

 ⑥⑦は粗造写し。

 あたかも職人が五六人程度の鍛冶屋で作られたような品だが、こういう感じの品は南部領では時々見つかる。当百銭にも同じような出来損ないがあるから、それなりの枚数を作ったのかもしれぬ。

 

 「まるで明和」、「まるで文政」のように見えるが、「実は密鋳銭だった」ケースはよくあるし、そういうケースの時に、別途の加工を施した品があったりする。

 穿と輪を少し加工しただけの品が多いのだが、手の込んだ加工を加えているのは、それなりの規模を持つ密鋳銭座であることがあり、その場合は系統的に銭種が広がっている。

注記)いつも通り一発殴り書き。推敲も校正もしない。