日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎病棟日誌・悲喜交々5/11 「ゆい先生」

◎病棟日誌・悲喜交々5/11 「ゆい先生」
 朝の穿刺担当は、若手看護師のゆいちゃんだった。
 「針刺しにも相性があって、看護師さんによっては、いつも痛い人、しくじる人がいたり、逆にいつも痛くない人がいるんだよ」
 すると、ゆいちゃんが「私はどうですか?」と訊くので、少し過去を振り返って考えた。
 「ありゃま。これまで常に痛みを感じなかった筆頭がゆいちゃんじゃないか。それなら、これからは『ゆい先生』と呼ぶことにしよう」
 棟内の最若手の看護師なので、ゆいちゃんが穿刺を担当するようになったのは、ごく最近の話だ。だから慎重に、そろっと針を刺す。この時の針の角度なのか、神経にまったく当たらない。
 マジでこの新人看護師に打って貰うと苦痛が少なくて済む。
 今後も極力、先生が打ってくれることを願う。
 下手なヤツは三度四度と打ち直しをして、腕に青タンを作らせる。

 治療の途中でエリカちゃんが来たので、バイクの話をした。
 エリカちゃんはコテコテのバイク乗りで、一人で片道五百キロくらいのツーリングに行く。
 「こないだ秩父に行ったら、季節がらバイク乗りが山ほど来ていた」
 道の駅に寄ると、そんなバイク乗りが数十台も休んでいる。
 そんな中に、カブの商用タイプのに乗ってるヤツがいた。
 昔の蕎麦屋の使うような単車だから、要は50CCだ。
 「近所の人が用事で来た」のではないことは、後ろに寝袋を摘んでいることで分かる。
 「原付で長距離をかけたら疲れるだろうに、猛者がいるもんだ」
 そんなヤツは、金を払ってキャンプ場に泊ったりはせず(もったいない)、公園なんかで寝袋に入って寝る。だが、公園では焚火が出来ないから、夜はかなり冷える。
 山際なら熊だって出るかもしれんのに、それで長いツーリング?が出来るのは、どれだけタフなんだか。
 30歳くらいだったが、ま、それくらい若くなくては出来ない話だ。

 すると、エリカちゃんが「今度、私もモンキーで旅に出ます」と言う。
 モンキーは乗り難いバイクだから長距離は疲れる。
 だが、昔のと違い、今のは排気量がやや大きい、大き目のモンキーがあるそうだ。
 ふうん。どこまで行くんだろ。伊勢とかかな?と考えた。
 すると、エリカちゃんは「瀬戸大橋を越えて来ます」とのこと。
 げげ。八百キロくらいあるんじゃね?
 125ccのモンキーで片道八百キロかあ。これも若くなくては出来んなあ。
 オヤジとしては、扱いの楽な400くらいがちょうど良し。それより上だと車と同じ手間が掛かる。
 だが、エリカちゃんによると、400は自転車の駐輪場に置けぬので、駐車スペースを探す必要があるとのこと。で、125。

 この時期にバイクに乗ったら、さぞ気持ちが良かろうと思う。
 中古で良いからバイクを買おうかなと思って、あれこれ型を見ていると、師長に「転倒して、シャントを傷つけると、大出血しますから、なるべく二輪は控えて下さい」と言われてしまった。
 ま、実際、左手を強く打ったら、動脈と静脈を接合した箇所(シャント)は簡単に破裂してしまう。
 バイクに乗るというごく普通のことさえ、今はやり難くなっている。