◎夢の話 第1145夜 ぶらりぶらり
四五日前に観た夢。PCが不調で記録を残すのが遅くなった。
居間には竹茣蓙を敷いてあるが、これだけだと腰が痛くなるので、その上に薄い布団を敷き、さらに竹茣蓙を載せる。
竹茣蓙は「体感的に涼しい」アイテムの代表格で、夏場はこれが手放せない。東日本の震災以後、居間の床で寝る習慣がついてしまい、夜中はいつも居間に一人でいる。
この夜も寝そべってスマホを見ているうちにそのまま寝入っていた。
だが、眠っている途中で、何やら頭の上に気配を感じる。
ちょうど襖のレール?の上くらいで、何かが揺れていた。
薄らぼんやりした頭で「女房が洗濯物でも干していたのが、エアコンの風にでも揺れているのか」と考えた。
だが、眼を開いて見ると、揺れていたのはシャツ一枚ではなく、人間一人分の上下の服だった。
周りを見渡すと、俺がいたのは高原のなだらかな坂の上で、樹海の端のところ。すぐ傍に木々が生えている。
「となると、俺の上で揺れているのは・・・」
木の枝で首を吊った仏さまだった。
上下の服の中にはカラカラに乾いた胴体が入っていて、これが水気が抜けて軽くなっているから、ちょっとした風でもブラブラ揺れる。
視線を上げて、頭の方を見ると(よせばいいのに)、ちゃんと頭もついていて、ご丁寧に両眼を開いて俺のことをじっと見ていた。
あーあ、やっぱりね。
夢の中で、この場所には幾度も来た。
富士の近くではなく、東北地方のいずれかの山の裾野だと思うが、いつも森に囲まれた丘の中腹にいる。
木々のあちこちに、仏がぶら下がっていて、その数は20体を超える。
あっちでブランブラン、こっちでブランブラン。
皆が俺の方を見ている。
いつも見て来たから、大体はその理由が分かる。
「俺に弔ってくれよと言ってるんだろうな」
何せこいつらが見えるのは俺だけだ。
だが、仏を樹の上から下ろして、一つひとつ棺桶に入れる作業など、俺一人では無理だわ。
結末はいいつも「お断りだよ。お前らは好きでそこにぶら下がったんだろ」と叫ぶ。
で、ここでいつも通り覚醒。
目が醒めても、暫くの間は視界の端で「ぶらんぶらん」と何かが動く。
一月に「お稚児さま(座敷童)」に会ってから、体調の方はドラスティックな変化を遂げたのだが、こういうのからは逃れられないらしい。