日刊早坂ノボル新聞

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◎『極悪女王』を観た

◎『極悪女王』を観た

 ユーチューブの神取忍チャンネルを観ていたら、神取さんが「ネトフリの『極悪女王』は面白い。全部観た」と語った。

 神取さんは、「高倉健さんの次くらいに不器用な漢(おとこ)」で、駆け引きや打算のない人格だ。ちなみに、「女子プロレス界最強の漢(おとこ)」は神取さんの代名詞で、この場合は誉め言葉だ。

『極悪女王』は女子プロレスラーダンプ松本さんをモチーフにしたドラマで、時代が違うとはいえ、神取さんは同業者だ。その同業者が「面白い」と言う。

 当方はドラマを殆ど観ないのだが、神取さんの言葉に乗ってネトフリを開いてみた。

 ドラマは5回のミニシリーズで、1980年代に、少女だった松本香がダンプ松本になって行く姿を描いている。

 ひと昔前の大映ドラマのような昭和の苦労話から始まるのだが、なかなか面白かった。

 観た方が分かりが早いので、ここにあらすじは書かぬが、当時を憶えている者にとっては懐かしいドラマだ。

 当方は当時、全日(男)と全女の興行を時々観に行った。

 全日なら後楽園ホール、全女なら埼玉や栃木の特設リング会場のを前の方の席で観た。

 ドラマはドラマで、現実を踏まえていても、なぞる必要はない。だが、実際に存在した人物事物に敬意を払うのは当たり前のことで、これが丁寧であれば、ドラマの質が高まる。

 ジャッキー佐藤さんや大森ゆかり役などはキャスティングが上手く行っており、後姿のシルエットが本物とそっくりだった。一瞥で演じる対象がそれと分かる。

 粗を言えばきりがないが、演技の質が人によって違うのが幾らか目についた。タレントさんは役柄を演じているわけだが、年季の入った役者さんの方は「その人となり」を表現しようとする。このため、芝居の上手な人とそうでない人との落差が鮮明に見える。脇は役者さんがきちんと固めていたから、その役者さんたちの仕事ぶりがよく見えた。

 芝居が上手になると、あえて「しない演技」が出来るようになる。故意に顔を歪めることとなく喜怒哀楽を表現出来る。

 数人の役者さんにとっては、自分の力量を示せた内容だった。

 

 クラッシュギャルズの二人を演じた女優さんは、ちょっと前に色々あった人たちだが、それなりにトレーニングをして撮影に及んだのが窺われた。各々なりに頑張ったと思う。

 

 5回を「一気観」したが、後半は後ろで息子も観ていた。

 昔のことを知らぬ者でも興味を覚えるわけだ。

 今のテレビドラマにはまったく興味が沸かぬが、これくらいの詰め方をすれば、観る意味が生まれる。要は「きちんと作る」姿勢が重要だと思う。

 ドラマの役と現実の人格は重なっているが、もちろん別物だ。

 だが、現実の人に重ねてあるから、当事者的には思うところある筈だ。ジャガー横田さんあたりは「ちょっとこの扱いはなによ」と感じた筈だ。

 ジャガーさんは八十年代のチャンピオンだったが、当時のプロレスでは「敵がいない」状態になった。スピードについていける者が誰もいない。

 リングサイドでジャガーさんの試合を観る時には、「いつ外に飛んで来るか」と緊張した。リング外へのトッペのスピードが速すぎて選手も客も逃げられなかった。

 

 冒頭の神取さんは、プロレス的な受けを狙わずに、地道な活動を続けている。ブラフをかます面が一切ないから、「信頼できるヤツ」の筆頭だと思う。この人の姿を目にする度に、当方は高倉健さんの「不器用な男ですから」みたいなフレーズを思い出す。

 ダンプさんは、最近、脳梗塞みたいな病気になったニュースが流れていたが、大丈夫なのだろうか。現役を続けるために、体格を維持した結果のひとつだろうから、これも生き様だが、大過なくあって欲しいと思う。