日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎病棟日誌 R061109 「ガス抜き」

病棟日誌 R061109 「ガス抜き」
 この日の穿刺担当はエリカちゃん
 「何か楽しいことは無いのか?」と訊くと「今日は女子会がある」と言う。
 職場の看護師たちで帰りに女子会をするそうだ。
 「エリカちゃんは酒豪だから今日もがッと行くのか」
 「いえいえ、今日はお酒なしで、新しく出来たビザ屋さんに行きます」
 「そっかあ。それなら、その場に居ない誰かの悪口をがあっと言って、ガス抜きをするといいよ」
 狭い職場で顔を突き合わせていれば、あれこれ不満も溜まるもんだ。
 「えええ」とエリカちゃんが引くので、少し説明した。
 「日頃のささいな不満をどこかで抜かぬと、どんどんそれが山になる。いつかは爆発してしまうかもしれんから小出しに出した方がいいんだよ。でも、居酒屋なりピザ屋の中だけにして、外に持ち出さぬことが肝心だよ」
 居酒屋の悪口をそのまま抱えて外に出て、外で話してしまうバカもいる。挙句の果てには「あの人はこう言っていた」と別の者に言う。ガス抜きのつもりが、どんどん関係が壊れる。

 「居酒屋の悪口」は対面関係の濃い職場では必要だが、それもハコの中で仕事をする者だから許される。
 これが経営者とか、自由業の者なら、酒の席で誰かの悪口を言うなどとんでもない話だ。自分の権限で物事を決められるのなら、自分で処理すべき。決定権を持つ者が「誰かのせい」にするようなら、その会社は潰れる。
 気に食わねばクビに出来る立場なら、他人のあら捜しなどは止めて、「コイツの長所をどう活用するか」を考えるべきだ。
 ダメだと思うならそいつはクビ。取引先なら契約を解除する。ただそれだけ。
 自分の会社を作った時には、「もう居酒屋で愚痴を言ったり、他人の悪口を言うのは止めよう」と思った。それがある程度許されるのは、勤め人の内だけ。
 などと言うことを思い出した。
 ま、どういう立場でも、あらを探して自分を慰めても何も生まれないが、長所を発見してそれから学ぶ姿勢でいれば将来に役立てられる。
 女子はきれいなところと気立ての良いところを見て、過去を見ぬようにすること。女には何かしら秘密がある。ピラミッドと同じで、秘密を暴こうとすると罰が当たる。

 抜針の方はユイ先生だった。小柄で細いので、高校生か短大生に見えるが、オヤジ看護師が「あの子は三十代の半ばで」とこっそり教えてくれた。少なからず驚いたが、この日よく見ると、それなりの年齢に見えた。ちょっと痩せ過ぎだな。