日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎意外な真実、不都合な事実 「クマ」

意外な真実、不都合な事実 「クマ」
 野生動物が子どもから大人になり、発情するようになると、とりわけオスは狂暴になる。
 それまでは可愛い仕草を示していたのが、人に向かって粗暴な振る舞いをするようになる。イヌ科の動物なら噛みつくようになる。ネコ科は引っ掻く。
 動物動画で、「死にそうな獣の子どもを拾って来たら、家族同然となり、ずっと愛らしく過ごしている」みたいな動画があるが、あれにはからくりがある。
 まだ子どもの内に、オスは去勢し、メスは不妊手術をする。
 これで大人しくなるわけだが、その話はもちろん、動画の中には出て来ない。
 また、「家族の一員として育てたクマから孫が生まれました」みたいな話もない。それも当たり前で、殆んどの場合、生殖できぬようになっている。

 スーパーに入り込んだクマを駆除するのに、「山に返してやれ」という抗議電話が数十ほど来たと聞くが、野生動物の傍で暮らしたことがないのがすぐに分かる。

 子どもの頃、叔父がタヌキを捕まえて来たことがある。
 罠にかかったので、叔父はタヌキの頸に針金を巻き、木箱に入れて当家まで持って来た。
 その時に叔父が言ったのは、「大人しいようでもタヌキは凶暴だ。絶対に頭を撫でようと思うな」だった。
 昼の内は、死んだように丸まっているが(これが「狸寝入り」)、夜になったら、針金も木箱も食い破って逃げる。
 その叔父の言葉通り、その夜のうちにタヌキは逃げた。
 人間の指など、タヌキは簡単に食い千切るそうだ。

 逃げることが分かっているのに、叔父は親戚の者にタヌキ
見せただけだったが、その理由は簡単だった。
 叔父の家は山の中で、近くには開拓農家が数軒あるだけだったが、大学生の時に、日中、その農家の前を通ったら、タヌキが牛の餌を漁りに来ていた。
 ごく普通の山のメンバーだが、けして気を抜いてはならない相手だった。

 狼なんかはリーダーに絶対服従する気質だが、大人になる過程で「誰がリーダーかを教え込む」必要があるから、たぶん、日常的に殴り付ける。これをしない場合は、やっぱり去勢すると思う。
 猪もウリンコの時には可愛いようでも、発情すると人間を噛むようになる。こっちは治らぬので、大人になる頃には食われる。

 動物動画に限らず、美談には大体からくりがある。
 こういうのを鵜呑みにしたらダメだ。