日刊早坂ノボル新聞

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◎病棟日誌R070213「耳学問」

病棟日誌R070213耳学問
 朝、病院のロビーで病棟の鍵が開くのを待っていると、少し離れたところに人が数人いた。
 内視鏡カメラの検査を受ける患者たちで、午前中には概ね6~10人が集まる。
 仲間のようなものだから、お互いに挨拶し、情報交換をしていたが、それが当方のところまで届いた。

 「2年前に悪性だという診断を受け、それいらい半年ごとに検査をして貰っています」
 大腸の検査だから、たぶん、大腸癌の患者だ。
 ポリープが悪性で、それを切除した後、経過を観察して貰っている。
 「私は前立腺癌んになったので、それを手術で切除して貰ったのですが、今回は腸の方も調べることに」
 二人の年格好は、たぶん、当方と変わらない。声に張りがあるからそれほど高齢ではなさそう。
 なお、顔を向けると、色んなものが見えたりするk十があるので、その患者たちのことは見ないようにした。

 60歳くらいから前立腺癌の患者が増えるが、部位的に進行が遅い癌種。むしろいじくると癌細胞の活動が活発になる。巷ではそんな風に言われるが、二番目の患者もそう考えたそうだ。
 「切除するか放射線にするかということになり、放射線にして貰おうとしたら、私のケースでは『出来ない』とのことだったので手術を受けました」
 手術は肛門から内視鏡を入れ、大腸壁から前立腺に進んで行う者だったそう。全身麻酔だったそうで、手術自体は無痛だが、「その後がかなり痛かった」とのこと。
 肛門や直腸の手術は、妊産婦の診察と同じスタイルで受けるという話を聞いたことがあるが、癌では恥ずかしいどころではないだろうな。

 五十台くらいから前立腺肥大症になる人が多くなるが、更年期でホルモンのバランスが崩れることで起きるようだ。
 当方も肥大しており、年に一二度炎症を起こすが、ジリジリと痛み起きていられない。
 体感的には「肛門の近く」なので、「直腸癌」「大腸癌」が頭を過ぎる。母が大腸癌で亡くなったから、自分もいずれはという思いがあるわけだ。
 前立腺だから男性器の近くかと思いきや、痛むのは「蟻の門渡り」付近だ。
 その時の痛みと同等かそれ以上だっただろうから、「かなり痛い」部類だと思う。

 ま、それでも膵臓よりは痛みが少ないはずだ。
 慢性膵炎を患っていた時期があるが、痛みが出始めると七転八倒の状態だった。酷い下痢をするし、嘔吐もする。
 普通の下痢ではなく、1分と我慢出来ぬから、便座の傍にいないと粗相をする。

 最初の患者は2年前には既にステージ4だったらしい。
 その割には明るく話していた。
 大体、1年間くらいは嘆いて過ごすのだが、それを越すと、案外前向きになる。

 「さて、自分にさらにこれが起きたらどうするかな」と考えた。
 ま、外科治療はせず、放射線程度だろうな。
 今のベッドにいた老人は70台半ばだったが、「俺はもう十分生きたから、これで十分だ」と言って、手術を受けず、ひと月後に病棟を去った。
 今の治療自体が苦しいので、これを続けているうちにそういう心境になるようだ。

 ここで気が付いた。
 「去年は前立腺の炎症が出なかったな」
 大体、春とか秋にはケツの周辺が痛くてたまらなかったが。
 まったく出なかった年は十年以上、記憶がないぞ。
 結論はひとつ。
 「さすが『お稚児さま』効果だ。福の最たるものは長命健康だわ」
 信じる者は必ず救われる。