◎病棟日誌 R070215「背中が痛い」
◎病棟日誌 R070215 「背中が痛い」
新しく向かいのベッドに入った患者を「70歳くらい?」と見ていたが、この日更衣室でその患者とたまたま一緒になった。体型が若く、60歳くらいのよう。なら腎不全になるにはちょっと早かったな。
その隣は当方が前に居たベッドだが、そこに新たに入った患者はアラ70歳で、工務店で働く職人さんだ。
看護師と話をする内容が聞こえたが、「背中が痛くて堪らない」そうだ。整形外科で診察の予約を入れることにしていた。
「すぐレントゲンを撮ってください」
看護師は「それは医師が決めることですから、こちらからは入れられません」と答えていた。
だが、患者は「背中が痛くて眠れないのです。それと横隔膜もすごく痛い」と伝えていた。
「横隔膜」は要するに「胸痛」があるという意味だ。
「背中の激痛」だけなら、概ね筋肉痛だが、これと一緒に胸痛があると事情が少し変わる。
看護師は「医師と相談してから」と連発していたが、これには含みがあるわけだ。
レントゲン自体は毎月撮っているので、予約を入れ替えるだけで済む。それをせずに「医師と相談してから」と言うのは「ただの筋肉痛ではないかも」という含みがある。
何せここは既に数多の持病を経て来た者が行き着く場所だ。
周りの患者はきっと同じことを考えたと思う。
「背中の激痛」「胸痛」が同時に起きるのは、概ね肺の疾患だ。心肺症状で血中酸素飽和度に現れぬのは、循環器系ではなく肺そのものの病気になる。
簡単に言えば「癌の疑いがある」ということ。
頭の中で「職人さんは喫煙率が高いからな」と思った。
総ては調べてからだが、もし癌なら既にかなり進んでいる。
「先に内科に行けよ」と思うが、当人のこころの問題もあるから、ゆっくりと「筋肉痛ではない」「循環器ではない」「肺の疾患」というように進めるのだろうと思う。
病気をした経験があまりない人だと、「癌です」と診断されただけで心にショックを受ける。
この病棟に長く居れば、周囲の状況を見ているので、別段驚きもせず受け止めるだろうが、これはここにはまだ来たばかりの患者の話だ。
ま、癌がかなり進んだ状態でも、そこから粘る人もいる。
嘆き暮らすと死期を早めるから、気持ちを切り替えて、前向きに考えると状況が改善されたりする。