◎夢の話R070412「キセキ旅館」
四月十二日の午後四時に観た短い夢です。
最近、治療がキツくなって来て、帰路はほとんど歩けなくなる。病院から車で家の前まで戻り、中に入るだけ。通院用に軽自動車を勝ったのは正解だった。本来の駐車場は七十㍍くらい離れて場所にあるが、今の状態なら家に戻るのにひと苦労する。
帰宅してすぐに居間の遊馬に崩れ落ち、そのまま眠った。
これはその時に観た夢になる。
俺は三十台。組織改革のコンサルをしている。
現実の経験に近い。
政財界の著名人で会合があり、某省の審議官の要請で、段取りをつけに行った。
十人くらいの有力者が集まるが、その会合場所を「キセキ」という名の和風旅館にした。
隠れ家的な旅館で、殆ど知られていないからメディアも来ない。
先に旅館に入り、訪問客を待つ間に、中を見物した。
百年以上前に建てられた古い旅館で、廊下は一人しかあ通れぬほどの幅だし、部屋の守薯低い。
ここで旅館の女将が説明する。
「昔はお侍さんがここを多用しました。襲撃されにくいように会談は狭いですし、刀を振り回す広さがありません」
確か幕末の志士が殺された旅館では、「大刀が震えないので、襲撃側が脇差を」使用したと言われていた。
「今日のお部屋はここで唯一三十畳の広さがある部屋で、これまでほとんど使われなかったところです」
女将が木戸を開くと、「ギギギ」という擦れ音がした。
なるほど。長い間使われていなかったようだ。
中に入ると、室内は案外きれいだった。
掃除をしていない筈なのに不思議なことだ。
程なく来客が到着するので、俺は玄関先に出て車が来るのを待った。
旅館の外観を見ると、前にも来たことがあるような気がする。
正確には「前を通った」だが、その時にこの旅館の前で、昔の彼女が誰か見知らぬ男と一緒にいるのを見た。
「彼氏なのか夫なのか」
ま、当たり前だ。別れてから十年以上が経っている。
心が乱れるのは、俺がまだあの別れを引きずっているということだ。
元カノの顔を思い浮かべたが、何だか違和感がある。
うまく行かなかった女性たちのエッセンスを混ぜたような要望だ。
「はっはーん。こいつは夢だ。俺は夢の世界にいるわけだ」
なら過去の女性陣への未練が表に出ても仕方がない。
そういうのが夢の機能だ。
目の前に高級車が着く。
ドアを開けて出て来たのは、政治家のX氏だ。最近、病状が報道されていたが、今は元気そう。
次が財界人のY氏。この人も癌か何か重病だったのではないか。
皆が次々に旅館の中に入って行く。
ここでもう一つ思い出した。
「ここは縞女のいた、あの旅館だな」
ならただの夢ではないのかもしれん。
客人たちは階段を上がり、あの部屋に入って行く。
鳩尾の周囲が気持ち悪い。
「あそこは本当は入ってはならない部屋じゃないのか」
頭の中に黒雲が渦巻く。
その雲の間から、まるで稲妻が光るように直感が閃いた。
「もうじきあの人たちは・・・」
Xさんはともかく、Yさんはまだ若いよな。
ここで簡単な事実に気づいた。
「女将はここが『キセキ』という旅館だと言った。それって紀世木でも奇跡でもなく・・・」
「鬼籍」だった。
ここで俺はもっと大切なことに気付いた。
「こりゃいかん。俺もこの旅館にいるじゃねーか。なら俺だって」
ここで覚醒。
登場人物は誰もが知る人々だったが、さすがに名前は書けない。あくまで夢の話だ。
だが、それには各々意味があるから、それを書かぬとぼんやりした話になってしまう。