◎夢の話R070630「イチモツ」その3
◎夢の話R070630「イチモツ」その3
「これを見てください」
そう言って女医が差し出したのは、前回記録用に撮影した俺のイチモツの写真だった。
「光ってますね。それと何かミストのようなものが取り巻いています」
確かに俺のイチモツには光の雲のようなものがまとわりついていた。
「肉眼ではなんとなく程度ですが、画像にははっきり写っています。カメラの捕捉範囲は肉眼より広いので、人が目視できない光も捉えます」
「捕捉範囲?」
「光の波長のことで、例えば紫外線や赤外線は肉眼では見えませんが、波長を調整すれば可視化することが出来るのです。カメラのレンズは僅かですが不可視波長域を捉え可視化するのです」
「何でこういうことが?」
「さあ、それは調べてみないと分かりません。あともうひとつ不可解なことがあります」
「不可解なこと?これ以上に?」
女医が俺に向き直る。
「診察の時に私は自分の全身の血管がさわさわと波打つような感覚を覚えました。まるで組織を組み替えてでもいるような感触です。これが何かはまだ分からないのですが、あなたの光に関係していると思います。」
「俺にはさしたる変化は起きていませんね。下腹部が目立たないよう、作務衣みたいなゆったりした衣服を着る必要が生じただけです」
「ところで何か思い当たることはありますか?最近、何か変わったことはありませんでしたか」
「うーん。最近心掛けているのはトイレ掃除ですね。運気を向上させるのにそれが良いらしいので、どこでも汚れたトイレを見つけたらきれいに掃除することにしています。公衆トイレとか駅のトイレですね」
「それは良いことですが、たぶん影響はないでしょうね。他には?」
「あとは・・・。神社かなぁ」
「神社?」
「法事があり郷里に行ったのですが、氏神さまに参拝しました。最近、田舎にもロクデナシの外国人が来るようになり、神社に悪さをします。石塔とかが故意に倒されていたので、それを起こしました」
「どういう神社ですか?」
「その地の地頭が建立した神社ですが、神職は私の名字の総本家に当たります。神河神社と言います」
「ならあなたの善行を汲んで、神さまが贈り物をくださったのかもしれませんね」
思わずため息が出る。
「ものには限度というものがあります。男性にとってでかいチンコはステイタスのひとつです。美人の奥さんを持つのと同じで、財産のあるなし、学歴や地位のあるなしに関わらず他人から一目置かれます。確かにそうですが、ここまでイチモツがでかいと規格外になってしまいます。五十センチに届きそうな長さでは、結婚なんて出来やしません。俺は三十二才で性欲ももちろんありますが、相手をしてくれそうな女性がいない。現にこの間・・・」
イケネ。俺は勢いに任せて、半月前に行ったスチームバスセンターでの出来事を口にするところだった。ソープ嬢とのやり取りは、さすがに病院でする話ではないだろうな。
あのオバサンはいい人だったな。俺のイチモツを見て、バケモノ扱いしなかった。
「ただ大きくなっただけではないかもしれませんよ。まだはっきりしませんが、別の影響や効果があるのかもしれません。来週また来てくれませんか。他の先生をお呼びして確かめてみたいことがあります。稀有なケースですので、費用はこちらで負担します」
女医には何か考えるところがあるらしい。
今さらじっとしていても埒があかないから、俺はは女医の申し出を受け入れることにした。
家に帰り、この日のことを思い出したが、もっとも面白かったのは「後光が差している」というくだりだ。俺は誰かに話したくなったが、しかし、ものがモノだけに話せる相手がいない。
「そうだ。サクラさんがいるわ」
俺はすぐに車に乗り、スチームバスセンターに向かった。まだ午後の三時頃だから、混んではいないはずだ。
すんなり店についたが、やはりサクラさんに客が付いてはいなかった。
フロントで申し込むと、すぐに部屋に連絡が行き、サクラさんが迎えに来た。サクラさんは俺に飛び付くように近づき、俺の胴に両手を回して強く抱き締めた。
「良かった。私の天使さまがまた来てくれた」
天使さまだと。客を歓迎するにはちと大仰ではないのか。
だが、部屋でサクラさんはその言葉の意味を説明してくれた。
「あの日、お客さんのあそこに触ったときに、私は全身に電気が走りましたt。電気というと強すぎるかな。何というか」
「さわさわと波打つような?」
「そうそうそれよ。そしたらね」
「何か起きましたか」
「病気が治ったの」
「病気が治った?」
「私、癌患者なの。胃癌からあちこちに転移しててさ。でもお客さんの大きなのに触れた瞬間、ビビッと良くなる気がした。全身のさわさわが落ち着いたら、何だかスッキリしてね。次の週が検診だったから、調べて貰ったら、癌が全部消えてた。信じられないけど、全部が無くなってたの」
俺の頭の中では、あの女医の「他にも変化があるのかもしれません」という言葉が渦巻いた。
「もしそれが本当なら、こんなバケモノみたいなイチモツでも何かの役には立つということだな。俺自身の意向とは関わりなくね」
「私だけでなく、他の人も助けられるかもしれないよ。私がお客さんを『天使』って呼んだのは、そんな意味だよ。さあ、脱いで脱いで。今日はサービスしちゃうよ」
「サービスって」
これにサクラさんはウインクを返してきた。
「練習したから、今日はきっと大丈夫。満足させてあげられるよ。でも私が上ね。あなた、えと、ケンちゃんて呼ばせて貰うね。ケンちゃんに突かれたら、きっと死んじゃうから、私が上ね」
言葉の通り、今サクラさんは俺のイチモツを蜜壺に納めてくれた。ベテランの技量は確かで、俺はほんの一二分であっさり果てた。
時間が余ったので、俺はサクラさんとベッドで話をした。いわゆる寝物語というやつだ。
「私はね、事情があってこの仕事をしてるけれど、それでも仕事をやめて俺と一緒になってくれっていてくれる人もいるんだ。でもこんな私が奥さんになる資格なんてないじゃない」
「いやそんなことはないですよ。一緒に暮らして行くには、性格が合うかどうかが一番大切ですよ」
見た目は若くて清楚な美人でも、心が汚れている女はざらにいる。だがサクラさんの心根は澄んでいて、細やかな気配りが出来る。
ルックスだって、顔は地味な「給食のオバサン」だが、スタイルが抜群で、「脱いだらスゴい」部類だ。化粧ひとつで印象は変わるから、ガラリ一変だってありそうだ。
「一番の懸念は、私が癌患者でもうステージⅢだってこと。それでこれまで断って来たの」
「なら、癌が良くなったなら支障がなくなりましたよね」
「どうかな」
「その人と話してみればいいんですよ。前提も条件もなしでね。予行演習で試しに一緒に暮らしてみる手もアリですね」
「まだ私を受け入れてくれるかな。ドキドキだわ」
「そんなのは出たとこ勝負ですよ。失くすものがないのだから、当たって砕けろでしょ」
「さすが私の天使さまだわ。じゃあ、病気を治して貰ったお礼にもう一回サービスしちゃうね」
もちろん、断るわけがない。俺は基本的に女好きだし、イチモツがでかくなってからは女体と遠ざかっているから尚更だ。
おまけにサクラさんは尋常ならぬ技量の持ち主だった。
(その4に続く。)
注記)癌疾のため文字が見えず、誤変換を直せません。推察でよろしく。