日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎病棟日誌 R070708 まだ死んでねえ

◎病棟日誌 R070708 まだ死んでねえ
 この半年で三度目のPCクラッシュ。おかげで二週間ほど穏やかな日々が出来た。
 ま、スマホがあるから、ゼロにはならないわけだが、メールなんかは見ずに済む。思案したが、まだ死んでないので、また中古のPCを買うことにした。息子のおさがりよりも数段落ちるが、ノートは文字が見え難いので、やはりデスクトップにした。
 やはりポイント数を上げられるので、こっちの方がまし。

 火曜は通院日。ロビーに行くと、Aさんが長椅子に倒れていた。
 「大丈夫ですか?」
 「少し気分が悪いだけです。先に行ってください」
 いつも朝は調子がイマイチなことが多いようなので、ついさっきまで傍にいたであろう患者たちは、先に病棟に上がっていた。
 頻繁にあることだから、そんなに気に留めなくなっている。
 そもそもAさんは体内がバイパスだらけの人造人間だ。
 だが、顔色が青いのと、左肩に黒い影が見えるので、「少し待っててね。看護師を呼んでくる」と言い残して、病棟に行った。
 まだ午前八時前だから、一般の患者は殆どいない。
 三階に上り、「Aさんの具合が悪そうだから、ロビーまで迎えに行って」と伝えた。
 Aさんにはもう少し頑張ってもらわにゃならんから、こっちも真剣だ。言い付ける口調で言うと、看護師たちが車椅子を押して迎えに行った。
 生き死にには「順番」みたいなものがあり、当方はAさんよりも先に死ぬと思う。Aさんの顔を見る度にそう思う。
 それなら、Aさんが厳しい状況になったら、「当方はもっと危ない」ということだ。死期を告げる「しるし」はすでにバンバン来ている。パニックにならぬのは、幾度か同じようなことが前にもあり、打開策を見いだせた経験があるからだ。
 だが、今回はかなり厳しい。
 治療が終わり、帰り際にAさんとすれ違ったが、「今日はどうも有り難うございました」とお礼を言われた。
 いつも見ている光景に、「ほんのちょっとの変化」が加わっただけなので、五六人が傍で見ていたのに、誰も気が付かない。
 生き死にを目にするのが日常的になっていることもあるが、危機本番が来ても、案外ぼおっと周囲に見られるだけかもしれん。

 帰路はディスプレイケーブルを買いに、ヤマ※電機に行った。
 治療後だし、今は体調が良くないので、救急車を呼んで貰う羽目になるかと思った。だが、消防署はこのビルの隣で、数十メートルだ。「それなら、別に呼んでも構わんな」と思った。
 家に帰り、数時間寝たが、それから起きだしてPCをセットした。メールの設定がうまく行かず、苦心惨憺だった。
 設定を何も変えていないのに、幾度か繰り返しているうちに、突然すんなり入るのはどういうことなんだろうな。

 ところで、この二週でかなり変化があった。専ら「あの世」系だが、また三段階くらい前に進んだ。
 夜に台所に立つと、必ず隣に人影が立つ。と言っても、完全に目視出来るわけではなく、ぼんやりしたものだ。
 だが、心を持った者が傍に立つと、すぐにそれと分かる。
 しかも、かつてない近さで、顔の四十センチくらいまで顔が寄って来る。
 横目で見たら、すぐに「ここは俺の家だからな。好き勝手にはさせねえぞ」と厳しく言い付ける。すると面白いことに「ハッ」と気付いたように、少し離れる。でももう三メートルは離れない。

 不審事には慣れているはずだが、今日は少し新手のパターンが増えた。
 買い物を終え、家の中に入り、居間に座った。
 腰がダメなので、荷物を片づけたりは、少し休憩した後でないと出来ない。
 「後でバスタオルを干さなくちゃな」と思ったら、廊下の方で「がちゃ」っと音がした。
 何か物が落ちたかと思い、その時には気に留めなかったが、三十分くらい後に廊下に出てみると、真ん中にハンガーが落ちていた。
 さすがに「おいおい」と口に出して言った。
 ハンガーは、洗面所の洗濯機の上に数十本かけてある。階段とか廊下にあるものの上には全くない。これを廊下に落とすには、まず洗面所のドアを開け、ハンガーを数メートル放り投げるしかない。
 当方はベッドに寝るときに、バスタオルを敷くが、これは湿気取りのためだ。汗なんかはパジャマが吸うから、バスタオルには湿気だけ。よって、2回くらいは、ハンガーにバスタオルをかけて、ベランダに干す。
 この時、廊下に落ちていたハンガーは二本だった。
 で、ご丁寧なことに、当方がその時手に持っていたのは二枚のタオルだ。
 こりゃ出来過ぎだわ。偶然じゃない。

 ここから頭がくるくると回転する。
 「どういう意味だよ?」
 少し考えさせられたが、意味は二つだ。
 「タオルケットをかけるのに必要だから、ハンガーを持ってきてくれた」
 善意によるものだが、しかし、落ちていたのは階段の下で、洗面所から三メートルは離れている。ま、手に持って運んでくれたら、さすがに気色悪いぞ。

 「自分がここにいると示すため。あえて二本投げたのは、これが偶然じゃないとわからせるため」
 確かに鴨居に服をかけることはあるが、廊下にからのハンガーを複数本かけることはない。
 二本のハンガーを「誰かが放り投げた」とみるのが合理的だ。

 考えさせられたが、夕方なんとなく分かった。
 家人が帰宅したら、ほんの些細なことで、ひどい口喧嘩をした。
 「なあるほど」
 幾度も記したが、悪霊がより憑いたときに起きる典型的な事例は、「電気製品の不具合」「物理的な異変」「声や物音」だ。それに加えて、「人間関係の摩擦」も起こりがちだ。
 不和が起きるのは、霊の抱える悪意が傍にいる者に影響を与えるからだ。ある意味納得した。

 稲荷の眷属の時と違い、今回のは顔がよく見えない。
 女だというのは分かっているが、どういうプロフィールなのかが掴めない。何せ、チラ見する女の顔は真っ黒で、感情が見えない。
 たぶん、九月が最大のヤマ場だと思うが、今のところこれを回避する糸口さえ掴めない。
 何せ除霊がどうの浄霊ガどうのという次元のやつではない。

 ま、まだ死んでねえから、最後まで粘る。
 あと、当方が悪霊を送った相手がどうなるのかを見るまでは、なるべく死なねえぞ。ちなみに破滅するのは本人の心根が邪だからで、悪意を持つものが寄り憑く。類は類を呼ぶということ。