◎病棟日誌R070719「女が叫ぶ」
◎病棟日誌R070719「女が叫ぶ」
また二日で1キロ痩せて、すっかり標準体重になった。
健康な人ならこれでよいのだが、患者が痩せるのによいことはない。
中高年は「小太り」程度が体にはよいらしい。
ただ、ヨレヨレでも、この日は杖に頼ることなしに歩けた。
この日の穿刺担当はエリカちゃん。最近はいつもエリカちゃんだ。
本人も「いつも最初の患者さんですね」と言っていた。
田舎出の気立てのよい子で、穿刺が手早いので、この子だと助かる。今年は新潟柏崎に花火を見に行くらしい。
この日はスマホを忘れ、治療が苦痛そのものだった。
時間を潰す手立てがない。トホホ。
抜針は前回と同じ新人看護師(男)。
正直、当方はコイツが嫌だ。
何せ後ろに「女」が立っていて、何か叫んでいる。
当方がここにいるのは分かるから、当方にも何か叫ぶ。
頭の中で「コイツ。前に女でも殺したんじゃねえのか」と思うほどだ。
今は三十歳前後だから、妻子はいると思う。
「子どもは二人で両方娘」だと何となく分かる。
まだ出来ていなけりゃ、これから出来る。
後ろの「女」が盛んに言っているのは、「娘たちとは会えなくする」ということだ。
色んな意味があるが、頼むから殺すなよ。
浮気してそれがばれ、離婚しました、くらいにしとけ。
耳が痛いくらい叫ばれるので、当方はコイツが嫌になった。
まだ処置して貰ったのは2回だけだ。
で、毎回しくじって、ベッドを血だらけにする。
コイツガ上手にできない理由を知っているのは当方だけ。
こういうのは確かめるわけにはいかんから処置に困る。
単なる想像や妄想かもしれん。
ってことはなく、今、当方が見聞きするものはすべて現実と繋がっている。全部当たる。
逆にそのことで、「ああ、俺の時間は残り僅かなんだな」と実感する。
巫女さまお稚児さまの出現により、心配症状は少し良くなったが、ゲソゲソと痩せ、青黒くなって行くのには変わりない。
腰にバーサンがしがみ付いて痛みが尋常ではないので、ロキソニンを重ねて飲んだ。