◎病棟日誌R070731「やってはいけないこと」
治療終わり(抜針)は看護師のO君の担当だった。
O君は一度、老婆の霊に寄り憑かれていたので、除霊の仕方を教えたことがある。
背中に老婆を背負っているところを目視したので、すぐに対処法を伝えた。拾ったのはたぶん、この病院で、O君が世話をしていた患者の一人だろう。
その時以後は「あの世」関連の話をしないが、当方はベッドでいつもホラー映画を観ていたので、O君は頻繁にその方面の話題を振って来る。O君は『ウォーキングデッド』の後日談とかを観ているそうだ。
そのO君が処置をしながらこう言った。
「ネットで動画配信している人で、ジュブツをコレクションしている人がいます。自分自身には霊感がないので、世間のジュブツを集めて影響の有無を調べているのです。面白いですよ。観てはどうですか」
一瞬、なんだよ「ジュブツ」って?と思い掛けたが、すぐに「呪物」だと気が付いた。
「それはどうだろうな。そういうことは興味本位にしてはならないことなんだよ」(きっぱり)
そのユーチューバー?のことは知らないが、「呪物を集める」行為は、たぶん、映画の『死霊館』を見て、見よう見まねで始めたのだろう。主人公のウォーレン夫妻は実在の霊能者・研究者夫婦で、いわくのある品々を集めていた。だが、それは好奇心からではなく、「世人に災いが及ぶのを避ける」ための行為だった。
意味が全然違う。
はっきり否定したので、O君は面食らったようだ。
いつもホラー映画を観ているから当方が喜ぶと思ったのか。
映画や小説では、悪霊が退治されたり、主人公が殺されれば話はそこで終わりだ。
だが、現実に起きる「障り」には終わりがない。際限なく続く。
おまけに、当人ではなく別のところに飛んで行ったりする。
死者を弄んだ当事者ではなく、親兄弟、甥や姪、もしくは友人などに悪影響が出たりする。
そしてそれは死ぬまで続くし、死んだ後も続く。
二番目は殆どの人の視野には入っていないと思うが、「障り」の本番はそこから(死後)だ。
ところで、朝のロビーで、「不死身のオバサン」こと、Aさんを見掛けたが、初めて背後に影が出ていた。
どんなに具合が悪い時でも、周りがきれいなので、いつも「どんなに苦しくともちょっとやそっとでAさんはくたばらんですよ」とAさんに直接言っていたが、危機が近寄っているようだ。
当方はエレベーターに乗ると監視カメラ映像に影が必ず映るので、「自分がAさんより先」だと思っていた。
だが、条件は大して変わらなくなった。
そんなに重い相手ではなさそうなので、次回は「影を遠ざける手立て」を伝えようと思う。