◎病棟日誌R070830 「記憶を食べている」
◎病棟日誌R070830 「記憶を食べている」
病院での治療の後、昼食が出るのだが、これは病院側のサービスで料金を請求されない。入院患者の分を毎食五百と言わず作っているだろうから、数十増えたところで大したことはないという判断か。
だが、食事制限の質とカロリー量の目安を教える手立てになっており、自然とそれに倣うようになる。何年かその食事を食べたせいで、随分と小食になった。
病院食では、脂肪とかを抜いてあるし、刺激物も入れない。
ハンバーグやとんかつも出るが、赤身の脂っ気が無い部分だ。
入院患者と同じだから、唐辛子も使えない。
だが、メニュウには麻婆豆腐やカレー、エビチリなんかが出て来る。
この日の昼食はカレーだった。
「母ちゃんカレー」に似たシンプルな味だが、それとも違う。
この日は少し牛肉が入っていた。
食べる途中で気が付いた。
「ターメリックとか香辛料の味がしない」
母ちゃんカレーとも違う味になっているのは、普通の辛み成分が入っていないからだ。
しかし、このカレーはカレーの味がする。
「そういやあ、麻婆豆腐にも豆板醤が入っていないや」
唐辛子もないから、まるっきり別のものだ。
よく確かめると、和味噌の味がベースで、要は「味噌豆腐」だった。
そこでさらに気が付く。
「カレーがカレーの味がして、麻婆豆腐が麻婆の味がするのは、食べる側がそう思って食べるからだ」
実際には赤味噌豆腐なのに、麻婆豆腐を食べていると思って食べているし、感覚的にそんなに違わない。
テレビ番組なんかで、牛肉と豚肉を食べさせ、「今のはどっちの肉ですか」と訊くゲーム?があるが、舌だけでは、上手く判別が出来ない人もいる。
「牛肉だと思って食べるから牛肉の味がして、豚肉は豚の味になる」といった側面が混じり込んでいるわけだ。
しかし、ターメリックは薬効があるから、病院食でも少し入れても良さそうだが、年寄はむせて誤嚥性肺炎を起こすかもしれん。
だが、麻婆はともかくカレーの方は香辛料を何で代替させているんだろ。