日刊早坂ノボル新聞

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「北斗英雄伝」:アイヌ文化の彩

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画像は、幕末の「南部刀」と称される直刀です。
おそらく実用本位のもので、必要に応じ、山刀としても使えるようになっているものと思われます。
実際に触ってみると、この感触に最も近いのは、アイヌのマキリです。
何となくアイヌ文化を思わせるような装飾が施されてもいます。

中世末期には、アイヌ民族は既にその中心的拠点を北海道に移していたはずですが、北奥の地でもまだ少数が生活していたと考えられます。
本作中では、このような人たちを示す言葉として、「アイヌ」は1度も出てこず、ただ「山の者」と呼ばれます。
葛姫は直にこの血を受け継ぎ、疾風も祖母が山の者という設定になっています。天魔覚右衛門は、その通り名が「知仁太(チニタ)」となっていますが、これはアイヌ語の「夢」を指します。

この作の重要なコンセプトの1つは、地方文化に「敬意を払う」ことで、北奥の民は皆、自らの出自に誇りを持っています。もちろん、かつて敵対した歴史を持っている「山の者」にも、尊敬の気持ちを無くすことはありません。
九戸方の侍は、その大半が、どこかでアイヌ民族と血の結びつきがあるという想定で、皆180属幣紊猟洪箸召蹐い任后(背が高かったのは事実だったようです。)
かたや上方侍は、羽柴秀吉をその代表として、大半が小柄となります。

第12章「七曜の章」では、元は上方侍の三好平八が、葛姫に初めて会います。この時、平八はうっかり「わしは蝦夷人(えぞびと)を初めて見た」と口走ってしまいます。
その言葉を聞きつけた東孫六は、親友でもある平八のことを、「この北奥でそのような呼び方をする者は只の一人も居らぬぞ!」と叱りつけます。

これより後、九月の宮野城の攻防戦では、攻め手の蠣崎氏の配下としてアイヌ兵が活躍しますが、城中の疾風との交流の場面をも予定しています。