日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第130夜 骨

夢の中の私は45歳くらいです。

その家に引っ越して7ヶ月目でした。
私は古い家が好きでしたので、長い縁側廊下のある昔の家が売りに出た時に、取るものもとりあえず購入したのです。
ここは都心から50キロほど離れた郊外の町です。

この家は築130年は経っています。
妻子はここに越さず、利便性の高い都心に残り、この家には私1人が住んでます。
部屋が8つもあるので、1人ではちょっと広すぎました。
近所の主婦のパートを雇い、毎日3部屋ずつ掃除してもらっています。

その日は、朝からしとしとと雨が降り続いていました。
私は、書斎から奥座敷に向かい、さらには縁側に出ました。
ここには小さいながらも庭園があり、池などもあるのです。
その向こうには板塀があり、その外は小道です。
最初は、この奥座敷で寝ようかと思いましたが、夜に裏の道を人が通り、声高に話をするので、別の部屋に移りました。

背伸びをして、あくびを1つ。
「うう」
雨粒が屋根から滴り落ちています。
つい、雨の落ちる先の軒下を見ました。しとどに落ちる水滴に砂利が濡れています。
「あれ」
白いものが見えます。
何だろう。石ではなさそうだ。
近くに寄り、しゃがみ込んで覗いてみます。
長箒の柄でつついてみました。
ボコリと音を立てて、ひっくり返ったものは・・・。
うえ。これって骨だ。人間の顎の骨。
何だこりゃ。

頭はどこにあるのだろう。
軒下の砂利のラインに従い、縁側を伝って歩きます。
白いものは、そこここにも見えてます。
箒でつつくと、それは全部骨でした。頭蓋骨が丸ごとのものもあります。
何ここ?ここって元はお墓か何かなの。

すぐに電話を掛けます。
「もしもし」
「はい。何でしょう」
プツン。切れちゃいました。仕方なくまた掛けます。
「もしもし」
「はい」
「警察ですか」
「どんなご用件でしょう」
「家の裏の地面から、人骨がたくさん出ました」
「ほう。どのくらい?」
「30柱くらいはあるようです」
「そりゃ大変だね。庭の方は見た?まだあるかもしれないよ」
あれ。おかしいぞ、コイツ。
「お前。警察じゃあないな」
「はは。わかる?」
プツンと切れます。

この家の電話は、受話器を取ると、繋がるまで数秒は掛かります。その間、ぐるぐると小さな音が聞こえているので、まるで転送されているみたいだと思っていました。
実際、どこか別のところに繋がっていたようです。
携帯で掛けるか。
携帯を取り出し、110番を押しました。裏の少し先が小山なので、うまく繋がらないかもしれないな。
携帯を耳に当てながら、縁側を下りて見ます。
置いてあった下駄を履き、庭の中に進みました。
ここには様々な花や潅木が植えてあります。
地面を見回りながら、箒の柄であちこちつつきます。
5センチも掘らぬうちに、肋骨と思しき骨がざくざく出てきました。
なんでこれに気付かなかったんだろ。

毎夜、裏道で人の声がして騒々しかったのですが、生きた人間の声ではなく死霊たちでしたか。
なるほどなあ。これほどの数では当たり前だろう。何か良くない事情があるのだな。
しかし、何度掛けても電話は警察には繋がりません。

ここで覚醒。
様々な要素が重なり、極めて不快な夢でした。