夢の中でパッと我に帰ると、私は踏み切りの前に立っていました。
カンカンと音が鳴っており、遮断機が下りたままです。
すぐに電車が来るらしい。
周りを見渡すと、踏み切りの前には人がたくさん立っていました。概ね200人くらいでしょうか。私は人混みの一番前で、遮断機の棒は目の前にあります。
後ろからぎゅうぎゅうと押されて、竹の棒に当たってしまいそう。
「おい。あまり押さんでくれよ」
後ろに向かい声を掛けます。
電車が通過し、遮断機の棒が上がると、皆一斉に線路を渡り始めます。
その線路を超えたところで気付きました。
「あれ?財布が無い」
たまたま尻に手を当てたら、財布がなくなっていました。
ここで自分を振り返ります。
私は26歳くらいで、この先のマンションの602号室に住んでます。先ほど家を出てきたのですが、何か忘れ物があり、取りに戻るところでした。
財布には現金が16万円くらいと、カード類が入ってます。
ひとまず駅前の交番に行きました。
そこにいた巡査に「財布を掏られました」届け出ると、巡査は「はあ」と気のない返事をして来ます。
ははあ。毎日のように誰か財布を盗まれているのだな。
相手の巡査がモタモタと手続きをしているのを見ていると、60歳前後の男が交番に入ってきます。
「これ。道の先で拾いました」
差し出したものは、当方の財布です。この辺、記憶が正確なのは、まさにその年齢くらいの時に持っていた財布と一致するところ。
その財布はその頃北欧に旅行に行った知人が、土産にとくれたものでした。
財布の中はほとんど空っぽで、現金もカード類も無くなっていました。
「すぐに、金融機関に電話する必要があるよ。普通は現金があればカードは持ってかないものだからね。カードも抜いていったということは、そっちにも興味があるということだ」
急いで公衆電話から幾つかの銀行に電話をします。
考えられる総てに連絡し終わり、電話ボックスのドアを開けると、財布を届けてくれた小父さんが待っていました。
「家の様子も確かめた方がいいよ。齢の割には現金を持っているから、家にも置いているだろうと空き巣に入られるかも。住所を書いてあるものも無くなってるんでしょ?」
名刺も無くなってましたね。
家はそう遠くないので、急いで戻ります。
20階くらいのマンションで、中に入るとエレベータのドアが閉まったところでした。
6階だし。階段で良いや。(そこはさすが26歳!)
中2階を上がると、インド人が経営している洋服屋があります。そこを通り抜けるとエスニック料理の店。
ここはウエイトレスが美人なので、歩きながら中腰になり小窓から中を覗きます。
ええい。今はこんなことをしてる場合ではないぞ。
非常階段の前に着いたので、重いドアを押し開けると、暗い階段が見えました。
ここで覚醒。
泥棒に物を盗られるのは、普通は良い夢です。
夢の中身とは逆に、何か運気が上がっており、仕事から色恋まで上昇する予兆だと言います。
今日は有馬記念です。さて果たして結果はどうでしょうか。