日刊早坂ノボル新聞

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テレビの嘘(日本テレビ「スッキリ」のTPP報道)

11月9日の日本テレビの朝の番組「スッキリ」を見て、感じた感想です。
TPPに日本政府が参加する意向であることを素材に取り上げていましたが、報道の中で「これに反対する議員は、日本の産業の中で1割の農家の選挙票が欲しくて、反対している」と繰り返し、方向付けていました。
何か根拠があるのかと、聞いていると、何ひとつ取材した形跡がなく、同じ主張を繰り返すばかり。
これって、「悪しきマスメディア」の典型的なケースだろうと思います。
 
「政治家=選挙票欲しさに何でもやる」は、メディアが頻繁に使うステロタイプです。
実際に取材をして、何かしらそのことを裏付ける事実があるのなら、それも主張のひとつ(けして報道ではない)と言える訳ですが、結局は作り話で、視聴者受けしそうな構図を捏造しているだけですよ。
 
1割の票が欲しくて、9割の人を敵に回すバカはいません。
それに、現時点でTPPに反対できるのは、政府民主党の中にいる議員で、野党議員は何ら力を持ちません。
民主党議員の誰が、農家やJAの利益を代弁していると言うのでしょう。
自民党政権時代に、散々使われてきたレトリックでごまかそうとしても、政権が替わった今では通用しません。
「取材してから言えよな」と日本テレビに直接言いたい所ですね(バカ丸出しなので)。
 
農産物の輸出入の自由化に反対するのは、食料の自給が「けして経済の問題ではなくて、国防そのもの」だからですよ。
レアメタルひとつ「輸出しない」と言われただけで、弱腰になる国なら、「食糧の輸出を止める」と言われれば、単なるイエスマンにならざるを得ません。
尖閣どころか沖縄だって、あるいは北方領土に北海道をつけて差し上げます、という次元の話。
 
阪神淡路大震災が起き、中心部で交通が遮断された時、わずか3日の間に、あらゆるスーパーや小売店の食料品棚が一切空になりました。
今現在は、全世界から食料が滞りなく届いていますが、国内の農業が成り立たなくなった時、相手国が勝手に値段を決められるようになるし、脅しの為のカードにも利用できるようになってしまいます。
どんな美味い話を取り繕うとしても、現状のまま自由化すれば農業経営は成り立たない。
これは戸別補償などでは解決できません。
農業生産物の流通に一切税を掛けない、農業所得には課税しない、農地の固定資産税をゼロにする(その代り、農地転用に際しては課税する)、農業を受け継ぐ若者は相続税をゼロにする、といった方向で、農業を周囲で支える側の抜本的な改革が必要ですよ。
「結果」を調整するのではなく、農業を維持・発展させる「機会」をあげなければ、改善できるわけがありません。
「農家は保護されている」と主張するおバカな評論家がいますが、それならなぜ僅か数十年の間に、ここまで農業就業人口が減少したのか、説明して欲しいものです。
 
食料は、経済問題ではなく国防です。
中国やアメリカ、もしくはオーストラリアの属国民になりたくないので、私もTPPには反対です。