日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第200夜 ベッドの上で

菊花賞のレース実況を見ようとして、テレビの前に座ったのに、数分で(眠りに)落ちてしまいました。
これは、その時に見た短い夢です。

眼を開くと、灰色の天井が見えました。
私はベッドに横たわっていたのです。
「ここはどこだろ?」
モヤモヤする頭が、ゆっくりと覚醒して来ます。
白っぽい部屋の中にいるようで、周囲には何もありません。

ドアを開けて、女性が入って来ました。
50歳台の後半くらいの年恰好です。
女性は私の視線に気がつきます。
「あら。サエコさん。目が醒めたの?」
部屋の中には私ひとりです。
ということは、私が「サエコさん」ということ?

おいおい。勘弁してくれよ。
私は誰がどう見てもオヤジジイです。
サエコさんなら、どう考えても女性の名前ですね。

慌てて起き上がろうとしますが、体が動きません。
両手両足とも、ぴくっともしないのです。
(こりゃ、どうしたって、夢の中にいるんだから、集中すれば自分の思い通りに動かせるはずだな。)
しかし、動くのは顔だけでした。
左右の手の方を向くと、両手に包帯が厚く巻かれていました。
もしかすると、手の向こうはベッドの枠に縛られているのかもしれません。

サエコさん。今日は良い天気だから、カーテンを開けましょうね」
女性は窓に行き、カーテンをやや乱暴に引きました。

夢の中では、最初に出てくる異性が、自分の人格に最も近い存在だと言うな。
となると、私本来の人格に近いのは、「サエコ」の私か、そこにいる女性のどちらかです。
どっちも嫌だよ。

女性はベッドの脇に近寄ると、私のお尻の下に手を入れて、何かを確かめました。
おそらく大小便の有無でしょう。
サエコさん。今日はわがままを言わずに、きちんと食事をしてくださいね」
女性はそれを言うと、一度も私の顔を見ることなく、部屋から出て行きました。

さっきの女性は、白っぽい服を着ていました。
白衣ではなかったようですが、それに近いワンピースでした。
となると、ここは病院で、あの女性は看護師?

ま、そんなのは後回しで良いです。
大事なのは、一体、私が誰なのかということです。

両手両足は、ベッドに括り付けられているかのように動きません。
太腿を動かして、股間を絞ってみると、なんということでしょう!
そこにあるはずのものの感覚がありません。
「おいおい。マジにオレは女なのかよ」
ま、既にオヤジジイで「重い持病あり」の体なので、股間に元気が無いのは当たり前ですが、無感覚となると恐ろしいです。
おっぱいも触って確かめたいのですが、手が動かせないので、それは出来ません。

この時、廊下の方で、「ああ~!」と叫ぶ声が聞こえました。
その声に触発されるかのように、「やだやだ」、「やめてくれ」と喚く声が続きます。

そんな人声を聴いているうちに、私の心が萎えてきます。
「ここって、もしかして精神病棟じゃあないのか」
それじゃあ、私が男だろうと女だろうと、大きな違いはありません。
正常に考えられなくなったので、ここにいるのです。

頭を可能な限り上げて、足先の方向を見てみました。
すると、ベッドの先に大鏡が見えました。
鏡に映っていた顔は20代の女性でした。
「まだ若い女なのに、心の中にオヤジジイが入っちまっている。こんな不幸はめったにないだろうな。あ~あ」

さて、今までいろんな夢を見て来たけれど、こういう夢は初めてです。
今は夢の中なんだけど、どうやって今の事態を打開すれば良いのでしょう。

ここで覚醒。

股間がスカスカだってことに気付いた時の落胆が大きかったので、おそらく、老化を意識することと関係があるのかもしれません。
変な夢でした。