日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第207夜 ホテルのロビーに

先週の日曜に、息子の合格祈願のため、家人と2人で関東某所を訪れたのです。
仏跡があるだろうと見込んで訪れたのですが、正式なものではなく、観光用に作られた仮のものでした。
帰路、車に乗ると、家人が「なんだか魚の腐ったような臭いがする」と言いました。
臭いの出所を探すと、もちろん、車の中にそんなものはありません。
「それって、死霊を拾ってきたんじゃないか。どこからその臭いが出ているか、よく嗅いでみな」
家人は周囲をくんくんと嗅ぎまわると、ひと言、「ワタシだ」。
「じゃあ、間違いない。柏手を打ってみろ」
家人が手を強く叩いても、「ベタベタ」という音しかしません。
私が叩くと「パンパン」という高い破裂音がしますが、家人の方は何度叩いても「ベタベタ」です。
「家まで私についてくることはないから、たぶんどこか別の場所に移りたくて、乗ってきたんでしょ。私をタクシーの替わりにするつもり。時々あるよ」
「じゃあ、どこかで下してやろう。人の多いレストランで食事すれば、きっと離れて行くだろ。ウチではすぐに気づかれて祓われる。この世には、あっち側の世界に疎い人がたくさんいるんだから、喜んでそっちについて行くだろ」
そこで、ある外食チェーン店に立ち寄ったのですが、日曜なのでお客がたくさん入っていました。
食事を済ませて外に出ると、匂いはやはり消えていました。
ちなみに、死霊が寄り添ったからといって、さしたる影響はありません。その人の生き方を左右するのはその人本人なので、ほんの少し喜怒哀楽が増幅される程度です。
この辺を大げさに言うのは、自称「霊感師」たちがメシの種にするためですよ。
死霊なんぞ、一歩外に出れば何万といます。この世の総てが心霊スポットなのです。

ここまでは実際にあった話です。(ちなみに当家では日常のごく普通の会話です。)
心臓に持病があるのに、山の上まで上ったせいか、かなり疲れてしまいました。
帰宅して、腰を下ろすと、すぐに寝入ってしまいました。
これはその時に見た夢です。

気がつくと、ホテルの一室にいました。
テーブルを前にして座っていたのです。
隣には、若い女性が座っています。
(なんでここにいるんだろ?)
デート目的でこの部屋に入ったわけではないようです。
私もその女性も、スーツ姿でした。

視線を前に戻すと、目の前にモニターが見えます。
モニターには、そのホテルのロビーや、人がたくさん入った大会場が映し出されています。
「異常ありません」
隣の女性が言葉を発しましたが、私に対してではなく、無線を通じ、その会場にいる仲間たちに連絡しているのです。
(なるほど。今の俺はSPか。誰か要人を守る仕事をしているわけだな。)
この女性と2人で、モニターに不審な人物が写らないか監視していたのでした。
仲間は30人以上配置されていますので、どこに不審者がいても対応できます。

何か国際的なイベントが開かれているらしく、ホテルの周辺には数千人の人がいるようです。
出入りする人を監視するだけでも、大変な作業です。
「あれ?」
隣の女性が声を上げました。
「先輩。あれは何でしょう」
女性が指で示したのは、ロビーの映像です。
「あそこに変な人がいます」
モニターに眼を近づけて見ると、なぜか着物姿の人がいました。
この場にはそぐわないいでたちです。
「よくチェックをすり抜けられたものだな。入り口の担当は何をやっているんだろ」
着物を来た人物が監視カメラのほうに近寄って来ます。
「先輩。なんだか変ですよ」
それもその筈で、寒い季節だと言うのに、その人物は白い着物1枚をだらしなく着ただけです。
姿がはっきり見えてみると、その人物は女性でした。
「あの白い着物って、もしかして・・・」
亡くなった方に着せる死装束です。

「うへへ。完全な不審者だな。すぐに連絡しないと」
私はロビーの担当メンバーに連絡しました。
「おい。26番の近くに着物を来た女がいるだろ。そいつを押さえてくれ」
26番が返事をします。
「着物を来た女?どこですか」
さっきの女は、26番のすぐ前に差し掛かりました。
「おお、もうそこだ。今、26番のすぐ目の前にいる女だよ」
モニターでは、女は26番の1メートル前に立っていました。
これに26番が答えます。
「着物を着た女なんて、このロビーのどこにもいないよ」

監視ルームで、私と同僚の女性が視線を合わせました。
「何だ。幽霊じゃん」

ここで覚醒。

4時過ぎに、例によって玄関のほうで物音がしたので、眼が醒めました。
このため、この夢は途中で終わりになっています。
何のことは無く、昼に死霊の話をしたので、その記憶が残っていたのだろうと思います。