日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

「あこがれ」の終焉

家人は外国籍です。

郷里の国には無い食べ物で、未経験だったのは、「抹茶」と「杏」でした。
「抹茶」は、抹茶アイスでしか口にしたことがありません。
「杏」はドライ・アプリコットしか食べたことがありません。

家人の頭の中では、「どんなに口当たりの良い・美味しいものだろうか」と想像が膨らみます。
ダンナは家人に求められると、「がっかりするからやめとけ」と否定して来ました。
毎年、杏の季節になると「食べてみたい」、新茶の季節になると「飲んでみたい」。

何年間かが過ぎ、ついに、実食の時がやって来ました。
昨日、埼玉県の奥にある神社に参拝に行ったのですが、そこの休憩所で抹茶を頼むことが出来たのです。
「頼んでも良い?」と家人。
いつかは経験することになると思っていましたが、この日がそうです。
ちなみに、神社の名前は直接関係ないので伏せますが、西部の山奥のあの神社です。

抹茶を口にした家人は、想像通り、「ビヤアッ」と声を出しました。
かなり苦かったようです。
「抹茶はかなり上等なお茶を、上手な人が淹れないと、苦いんだよ」
ダンナの言葉に、家人が肩を落とします。
そこへダンナが追い打ち。
「中学生の同級生に30年後に会ってみた。ドキドキしたが、実際会ってみると、やっぱりババアになっていた。それくらいがっくりだろ?」
例えはかなりズレていますが、それくらい落胆するだろ、という意味です。
(ま、自分もトシを取っているわけなんだけどね。)

帰路に、果物店に立ち寄ると、杏が置いてありました。
「どうせだから、これも買えばいいよ」
杏は干してあると甘酸っぱいですが、生の状態では味も風味も梅に劣ります。
干すか、アルコールに漬けるしかありません。
ま、何度も家人に説明してきたことです。

杏を食べた家人は、「ホントだ」と口数が少なめでした。
「口で言うより経験してみろ」ですが、「あこがれ」はそっとしておく方がよかったりします。
まあ、家人の場合は、トシの割に好奇心が強いので、何か別のものを見つけるだろうとは思います。