日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

ニュース斜め読み(人質事件)

報道を見聞きする時に重要なのは、ニュースがどのように発信されているかを、行為論的な枠組みの中で位置づけることだろうと思います。
1)誰が 2)誰に対して発信する情報で、3)その情報によって生ずる利益は、誰のどういうことか、等です。
最近ではニュースの発信元が曖昧だったり、あやふやな情報をそのまま流したり、事実関係を伝えるだけでなく、主観的な評価や感想までもが組み込まれているので、注意が必要です。
(一応は社会学の研究者だったこともありますので、最近行われている情報操作には注目しています。)

さて、例によってニュースを斜め読みしてみます。

〇 阿倍総理の対応
昨年の12月に、湯川さん後藤さんが拘束されているのを知っているのに、阿倍総理は中東訪問で「イスラム国と戦う周辺国に対して」支援を行うと明言しました。
支援内容が「人道的」かどうかはあまり意味がなく、「対イスラム国反対勢力への支援」であることが明確です。要するに、挑発したし、相手もその挑発に乗った。
この場合、阿倍総理の責任を云々する向きもあるようですが、これは的外れです。
なぜなら、阿倍総理は確信犯で、日本が平和主義を貫くためには、「軍事力の裏付けが必要」ということを実証するために、今の状況を誘導しているのです。
日本人の人質が殺害されたことで、総理は重ねて「テロ首謀者に償わせる」という表現を使いました。
実質的に「やってみろ。コラ」と言うような挑発です。
さらに被害が出て、「日本と日本人を守らねば」という風潮が出ることを望んでいるのでしょう。
そのためには、あと数回はテロ事件が起きる必要がある、と考えてもいる筈です。(勝手な憶測です。)

〇 ISILは「困っている」
日本人を誘拐して、1)現実的でない身代金を請求したり、2)当事者でない国(ヨルダン)にいる捕虜との交換を要求したりと、ISILの行動は目的合理的でない面が多い。
道を歩いている子どもを誘拐して、その子とは関係の無い都市銀行に「金を払え」と要求したり、水道局で「ガスを出せ」と言うのと同じくらいちぐはぐな内容です。
最初から殺害意図があったか、あるいは行き当たりばったり的な印象です。
そのことを「周到に計画されたもの」と見なす専門家もいるようですが、「ジハードのジョン」のヒステリックな演説を聞くと、この先の展望がなく困っているのが実際のところではないでしょうか。

あまり報道されませんが、有志連合はあの地域に対し「2千回の爆撃を行っている」との説もあります(不確かです)。
爆撃は石油施設や軍事的な拠点を狙うとされていますが、その拠点の中には一般市民も当然います。
テロリストのアジトには、女子供だって当然います。
ここを爆撃しています。
腸が煮えくり返っているのは、ISIL側も同じですが、かつ状況が悪くなっているので、挑発に対し過剰に反応します。
弱者が強者と戦うには、過激なテロしか手段がないのでこうしているのです。

〇 日本人の「怒り」をどうするのか
日本人が最も重要だと考えるのは「公正さ」で、個人的利害や感情よりも「公正かどうか」が最優先されます。金持ちや権力者が、「あからさまに」優遇されることはありません。
(あからさまでない部分では、もちろん、沢山あります。)
日本人にとっての「公正さ」が損なわれ、今の事態が「理不尽」だという共通意識が生じれば、国民は一気に一致団結することでしょう。
あっと言う間に軍事大国で、武器は使わなければ意味が無いので、使うことになります。
その先は、数年で核武装です。

行き過ぎを避けるためには、早い段階で「怒り」を鎮める必要がありそうです。
殴られたままにしておくと、簡単に殴られる立場になるので、迅速に殴り返すことになります。
軍事行動の気運が盛り上がる前に話を終わらせるためには、ビン・ラディンの時と同様に、「懸賞金を懸ける」のが良いのでは。
相手はもちろん、「ジハードのジョン」です。
敵はISIL、および彼の地に住む人々ではなく、首謀者たる「特定の個人」と考えるわけです。

留意点をまとめると、次のような内容になります。
1)阿倍総理は確信犯で、テロとの戦いを「踏み台」にしようとしている。
2)ISILは困窮しており、追い詰められている。
そのことを忘れることなく、
3)首謀者にはケツを拭かせることが必要だ。ISILの象徴は今や「ジハードのジョン」なので、首謀者とはこの男になる。ただし、特定の首謀者を除き、他の人民には理解を示していく。

お互いに殴り合うだけでは、行き着くところは「皆殺し」しかありません。
核ミサイルを撃ち込めば一件落着です。
どうしても許せぬ者には殴り返すべきですが、しかし、同じ地域内には罪のない人もいます。
なだめたりすかしたりを加え、徐々に納めて行く姿勢が必要ではないでしょうか。
地域内でも「ISILが嫌だ」という人もいる筈なので、そう言う人は周辺で受け入れ、「人道的支援」を提供すれば、いずれ内側から崩れます。

相手を一方的に敵とみなすのではなく、受け皿をも与えるのですよ。阿倍総理さま。

少し個人的意見や感想が入りました。
まあ、ここは報道機関ではなく、個人のブログですので。