日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第390夜 天罰

朝の4時頃に観ていた夢です。

俺たちは流浪の民だ。
先祖が何か神を軽んじる行為をしたため、同じところに留まることは許されない。
だから、毎日、朝4時には起きて、すぐに10キロは移動する。
俺が生まれてから、毎日これを繰り返してきたので、当たり前に思っていた。
しかし、俺がリーダーになり、部族1千5百人を束ねる立場になった時、初めてそのことを疑問に思った。

俺は部族の長老の所に行った。
「俺は生まれてから四十三年間、毎日、朝4時に起き、すぐに移動する生活を送って来た。あなただってそうだろう。あなたの親だって、その親だってそうだった筈だ。しかし、その理由を確かめようとした者はこれまで1人もいない。不思議に思いませんか?」
長老はゆっくりと瞼を開いて俺を見た。
「それは許されていないことだ」

もちろん、そんなことは分かっている。
「でも、習慣的にそうやって来たが、どうしてそうしなくてはならないのかを説明することが出来ないのです。おかしいですよね。本当はどんな意味があるのか知るべきではないですか」
長老が首を振る。
「なあ。俺たちがこういう生活をしているのは天罰を受けているからだ。これに逆らえば、もっと酷い事態が起きる。だから余計なことは考えてはならないのだ」

しかし、ただ「ダメ」と言われるだけじゃあ、納得は出来ない。
ある日、俺はそのことを確かめてみることにした。
部族を出発させたの後も、その地に留まってみることにしたのだ。
俺が動こうとしないのを見ると、若者たちがすぐに俺の意図に気づいた。
「お頭。まさかここに残って、何が起きるかを確かめるつもりですか?」
俺はその若者に頷いた。
「そうだよ。もしそれを確かめられれば、この先、皆に説明するのが楽になる」
「じゃあ、俺たちも残ります」
若者の仲間は二十数人いた。

そこは若者で、好奇心が強いのだ。
ただしきたりだから守るだけではなく、「なぜ」「どういう理由で」を確かめられずにはおれない。
「よし。では俺と一緒に残れ。これから起きることを眺めよう。ただし3人までだ。俺たちが全滅したら、そのことを部族に伝える者がいなくなる。残りは3時間くらいしたら。またこの地に戻って、どうなったのか確認するのだ」
俺の命令に従って、大半の若者がその場から立ち去った。

結局、その地に残ったのは俺と5人の若者だった。
俺たちは道の脇に腰を下ろし、じっと待つことにした。
すぐに5時になった。
何も起きない。
6時になった。
やはり何も起きなかった。

「何だ。何ら変化が無いぞ。俺たちはただ中身の無い伝説のために、この岩だらけの世界を流浪していたのか」
そう思ったのも束の間、すぐに俺たちはこのしきたりの理由を知った。

最初に「トン」という音がした。
「何だろ」
再び「トン」という音が響く。
暫らくすると、今度は「ドン」と重い音になった。
「ドン・ドン」
俺たちは周りを見回した。

「お頭。あれです」
目をそっちに向けると、「ドン」という音と共に、砂埃が待った。
「あれは・・・。岩だな」
岩が降って来ているのだ。

「こりゃいかん。どこか岩のつぶてを避けられる場所を探そう」
たまたま、この近くには洞窟があった。
俺たちは急いでその洞窟に駆け込んだ。
ここに無事に入ることが出来たのは3人だけだった。

洞窟の外では、岩のかけらが降り続いている。
「一体どうなっているんだろ」
洞窟に隙間があり、そこから上を覗くことが出来る。
空から降ってくる岩は、皆十センチから二十センチの大きさだった。

俺には何となくこの現象の理由が分かった。
「この星の軌道上には沢山の星屑が回っている。多くは岩石のかけらだ。昔、隕石が月に衝突するか、この星自体に衝突するかして生じた岩の雲だ。太陽との位置関係で、ある一定の角度になると重力が変わり、岩を引き付けるのだ」
この星は毎日決まった軌道上を移動しているが、完全な球体ではなくなっているから、小刻みに震えている。だから、不規則に岩の雨が降るのだ。

俺たちの部族はたくさんの動物を飼っている。
朝になると、この動物たちが人間より先に動き始める。
生き物の勘で、そこが危険な位置かどうかが分かるのだ。
そこで、危険を感じると、十キロから二十キロほど移動していたのだ。

「ふうん。なるほどね。よく分かりました」
もし部族に戻ることが出来るのなら、きちんと説明が出来る。
「だが、果たしてそれが出来るかどうか」
今、俺たちがいる洞窟は、実は今日の降岩の中心地だった。
おそらく、この洞窟の入り口は、程なく岩で埋まってしまうのだ。

ここで覚醒。

夢の中では、岩だけでなく、自動車や人工衛星の部品が降っていました。
「夢の話」は目覚めて、すぐに書きますので、記述がヨレヨレです。