日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第370夜 2018年の戦争

◎夢の話 第370夜 「2018年の戦争」
全体を1本に通しました。

目が覚めると、どこか医療施設のようなところにいる。
ベッドに寝かされているが、起きようとしても起きられない。
それもその筈で、手足をベッドに縛りつけられているのだ。

しかも直近の記憶がまったく無い。
いったいどうなっているのか。
目を瞑って考えてみる。

そこへ看護師らしき女が2人入って来る。
片方は五十台くらいで、もう1人は二十歳くらいだ。
若い方が何かしくじったらしく、叱られている。
「まったく、貴女は何時になったらちゃんとできるようになるの!」
「すいません」
他人のいる所では若いのを罵ることが出来ないので、オレの病室に入って来たのだ。
「自分の担当の患者くらいはきちんと面倒を見てよね」
「はい」
オレではなく、他の患者の世話で落ち度があったのだ。
そこから五十ババアの説教が長く続く。
くどくどと愚痴をこぼした後、年かさの看護師が若い看護師に命じた。
「じゃあすぐに、この人の清拭もやっといて」
「はい」
年かさの方は部屋を出て行った。

若い看護師は少しの間沈んだ表情でじっとしていたが、気を取り直してベッドに近づいた。
オレの体をタオルできれいにするのだ。
上掛けをめくり、オレの患者着の前を開く。
中は裸だ。
看護師はタオルを絞り、オレの体を拭き始めた。
オレはされるがままに、じっとしている。
前が終わると、背中があるので、看護師はオレを縛っていた革バンドを外した。

ここだな。
オレはじっと看護師を見詰める。
看護師が首の後ろを拭こうとして手を回す。オレの顔のすぐ目の前に看護師の目がある。
「おい」
看護師がびくっと動く。
オレは自分の口に指を当て、「しっ」と言った。
もちろん、「声を出すな」と言う意味だ。

「意識があるんですか?」
女はよほど驚いたのか、これを声に出して言っていた。
「オレはどのくらいの間ここで寝ていた?」
「4カ月です」
「その間、全然眼を覚まさなかったのか」
「はい。鎮静剤を投与していましたから」
「なぜそんなことをする」
「分かりません」

まあ、そんなことは後だ。
何かの理由があったのだろうが、オレは「眠らされ、拘束されていた」ってことは事実だ。
もしオレが目を醒ましたことが分かれば、再び同じ目に遭うかもしれん。

「よし。オレはここを出るぞ」
「え。それは困ります」
「お前ね。ここはおそらく刑務所じゃない。そうだろ?」
「はい」
「精神病院でもないよな」
「はい」
「ならどうしてオレを拘束するんだよ」
看護師がオレの剣幕にひるみ、一歩二歩と後ずさりする。
すると、ドアが開き、男が入って来た。
白衣を着ている。

看護師はその男を医師だと思ったらしい。
それもそうだ。その恰好ではオレもそう思う。
「先生!この人が目を醒ましました」

男が口を開いた。
「そりゃそうだよ。ずっと薬で眠らされていたんだものな」
ここでオレのほうを見る。
「足腰が弱っているだろうから、すぐには立てないよ。でも、早いとこ足を慣らして、ここを脱出しよう」
脇に立つ看護師の目が丸くなる。
男は医師ではなかったのだ。

男はすぐさま看護師に命じた。
「手荒なことはしたくない。椅子に座って静かにしていてくれ」
再びオレのほうを向く。
「目立たぬためには、自分の足で歩いてもらうほかは無い。起き上がって、足を床に着き、慣らしてみてくれ。5分しか余裕はない。すぐに巡回が来るからな」

「分かった。やってみる」
オレはベッドサイドに足を下ろし、立ち上がろうとする。
しかし、ほとんど力が入らなかった。
「筋肉をもみほぐしながら、慣らさないとダメだね」
男の声が聞こえる。

数分後、オレは足を床について立った。
「なんとか歩けそうだ。長い距離は無理だけどね」
「外に車がある。君が歩くのは二百辰世茵
「それなら大丈夫だ」

男は看護師の両手をベッドに括り付けた。
「申し訳ないが、あと十分の間は騒がれては困るからな。口にも轡をかまさせてもらうよ」
それが終わると、男は俺の右腕を取った。
「まず患者着を脱いで、こっちの白衣を着て貰おうか」
すぐに着替える。

「じゃあ、私の後ろからついてきて。手を取ってやりたいが、そうすると目立つから、自分でやってくれ。出来るだけシャキッとな」
「分かったよ」

病院の玄関を出ると、男の言った通り、車が待っていた。
ドアを開き、その車に乗り込む。
「よし。出発だ」
車が発進し、すぐにゲートの外に出た。

「ところであんた。あんたは誰なの?」
オレは閉じ込められていたので、そこから連れ出してくれる人であればだれでも良かった。
「私は代田と言います。代田慈恩」
「え」
音は「だいた・じおん」だ。英語読みをすると、ジオン・ダイタになる。
すぐにピンときた。
「それって、ジョン・タイターのもじりだよね」
男が顔に笑みを浮かべる。
「よく分かったな。反応が早いぞ」
ジョン・タイターは2000年前後に米国に現れた未来人だ。すなわちコイツはその仲間ということだ。

「次の質問は、君がなぜあの病院に捕まえられていて、なぜ私が君を助けるかってことだね」
こいつはオレの感じる疑問についても重々承知しているらしい。
「まずは後の方の疑問から解決するよ。2018年に米中戦争が起きるが、地域紛争だったのに、1年後にはミサイルが飛び交った。それから核の冬が来て、人類の多くが死ぬ。生き残ったのは全世界で30万人しかいない。私はその20年後の世界の者だ」
「2018年に米中戦争。今は2016年だから・・・」
「そう2年後だ。発端は鹿児島沖の潜水艦事故だった。韓国のボロ潜水艦が故障して、周囲に助けを求めた。近くにいたのは中国の軍艦とアメリカの潜水艦だ。韓国人はSOSを出す際に、あろうことか、『この艦は爆発する』と言うべきところを『爆破された』と言ったのだ。なんでも大げさに言う国民性だからな。韓国人は英語が下手だし、中国語も日本語も出来ない。おまけに韓国語も上手ではない民族だ」
「それじゃあ、米国の潜水艦はその艦が中国の軍艦によって攻撃されたと思いますね」
「まあ、それは確認すればすぐに分かることだ。ところが、その通信を傍受していた中国艦が、アメリカの潜水艦に対して先に攻撃をしたのだ。敵が数分後には攻撃して来るだろうと考えたというわけだ。ミサイルが放たれた後では間に合わないから、自分が先に打った」
「それなら、突発的な事故だから、話し合えば良いのでは」
「ところが、そこは尖閣の近くなどではなくて鹿児島沖だった。当然、日本の自衛隊も出て来る。自衛隊の最大の武器はステルス潜水艦だ。これが数隻近くにいたが、中国艦がミサイルを発射すると、間髪入れずに応戦した。そこはほぼ日本の領海で、必然的な自衛行為だった」
「まあ、戦争の起き方なんてそんなもんでしょ。憲法の解釈を変えた時の、阿倍総理の話はタラ・レバの連続だった。タラ・レバは反対の側で起きることもあるからな」
「例え話だが、一緒にラブホテルに入っても、『エッチを求めることはありません』と阿倍総理は言う。だが、女と一緒にホテルに入って、関係を求めぬ男はいない。ホテルに入れば、それはすなわち『エッチをする』という意味だ。いつでも戦争が出来る状態になれば、それは『いずれはする』っていう意味だよ」
「そりゃ当たり前だ。騙される方が悪い。後で泣くより、ホテルに入らないってことの方が賢い選択だろ」
例えは下品だが、分かりやすいだろ。
もし一緒にホテルに入るなら、少なくとも「必ず求められる」ってことだ。
戦争が出来る状態になれば、「いずれ交戦する」ことを念頭に置く必要がある。
その覚悟がないのならホテルには入るなよ。
もしその覚悟があるのならOKだ。朝まで激しくトコトン行こう。
要は「腹を括れる」かどうか。
阿倍総理は中国軍が巨大化する前に、「米日連携で叩きたい」と思っている。
息子を戦場に送る覚悟があればOKだ。まずは党員の皆さんが自分の子どもを率先して自衛隊に入れることからだろ。行動を伴わない言葉は「ただの言葉」でウソと同じだ。
要するに、この話はウソだ。「これまでと変わりない」なら、変える必要はないのだ。

ここで代田慈恩がため息を吐く。
「結局、戦争が起き、どんどん拡大した。その結果があれだ。私らは地表では暮らせずに、二十年間も穴の中で生活している」
「2018年から20年後と言うと、2038年ですね」
「その年の初めにようやくタイムマシンが出来たんだよ。それですぐに私が派遣された」
「目的は?」
「もちろん、戦争を止めることだよ。だがこれはかなり難しい。時間は水の流れのように動いている。ひとつ2つの石を投じたところで、流れが変わるわけじゃない。バタフライ・イフェクトなんてあり得ないんだよ」
「じゃあ、一体どうするんですか?」
「君の助けが要る。それが私がここに来た理由だ。君を病院から出したのはすなわちこういうことだよ」

ここで覚醒。
続きも見えています。
途中までで終わっていた「狩猟」の続きらしいです。
次は、「ヒューモグ」のユキを助け出すという展開になります。