日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第373夜 箱

夕食の支度をした後で眠くなり、そのまま寝入ってしまいました。
その時に観た夢です。

オレは車を運転している。
そこは国道(一般道)で片側一車線道路だった。
郊外の静かな道で、遠くの山々まで見渡せる。
気持ちの良い日だ。

しばらく進むと、前の車が停まっている。
その前にも何台か停まっているようだ。
どうしたんだろ。

前の車の運転手が車から降りた。
数人が話をしている。
皆、停車中の車の運転手たちだ。
「事故でもあったのか」
事態を確かめるためにオレも車を降りる。

前に歩いて、そこにいた人たちに訊いてみる。
「どうしたんですか?」
男たちが顔を向けた。
「箱」
「え?」
「箱が落ちているんですよ」
1人が顎をしゃくる。

視線を道の先に向けると、道路の真ん中に箱が落ちていた。
120損擁?らいの大きな箱だ。
「トラックが落としたんですかね」
積み荷の結び方が弱くて、運転中に荷台から落ちることがある。
それじゃないの?

1人の男が首を振る。
「何だか様子がおかしいんですよ」
どういうこと?
オレは数台の車の横を通って、前の道に進んだ。
段ボール箱は潰れておらず、きちんと四角いかたちを保っていた。
「落ちた、という感じではないなあ」

さらに近づいて詳細に箱を見る。
段ボール箱はビニ-ルテープでぐるぐる巻きにされてあった。
「このやり方は・・・」
見たことがある。
妻は外国籍だが、母親に物を送る時に、箱をテープで巻いていた。
こうすると、少々の湿り気には耐えられる。
少し乱暴に扱っても壊れることがない。

「これは外国に送る箱ではないですか?」
運転手の1人が首を振る。
「でも、重い物なんですよ」
「重い物?」
「そう。40キロ台後半から50キロ台前半くらい。さっき押してみたんです」
オレは苦笑いを漏らしてしまった。
「確かにそれじゃあ嫌だな。ちょうど女性1人分の重さだもの」
回りの運転手が一斉に苦笑いを漏らす。
「それで、皆さんは停まっていた、というわけですか」
「貴方も押してみれば分かります」

オレは箱に手を当てて、少し押してみた。
本当だった。箱の中に何かナマモノが入っている感じがある。
死んだ犬を運んだ時もこんな感じだったな。
ビニールが手の平に吸い付くような感じがして、オレは慌てて手を離した。
「何とも気持ち悪い感触だな」
「でしょう?」
「これじゃあ、警察を呼んだ方が良いかもね」
「もう呼びました。10分で来るそうです」
「道路の上で良かったと言えば良かったかもね。それならすぐに来る。これが空き地だったら、事件性があると判断するまで警察は来てくれないものな」
遠くのほうで、サイレンの音が聞こえた。
「あれか」
「違いますね。あれは消防車です」
「じゃあ、どこかで火事だ。こっちは後回しになってしまう」
「あ。本当ですね」
箱を囲んで、4人の男がじっと立っている。
サイレンはすぐに聞こえなくなった。
「やっぱりどこかに行っちゃいました」
「なんだよ」

その時、箱がほんの少し動いた。
「わっ。今、動きましたよね」
「人が入っているかもしれないな。しかも死体ではなく、生きているのかも」
「誰か、カッター持っていませんか」
1人が車に走って、すぐに戻って来た。
手には小さいカッターを持っている。
「すぐにビニールを切らないと」
「シャッ」という音が響く。

「ちょっと待って。小さい穴を開けるところまでにした方が良いかもよ」
「え?何でですか?」
「中が人とは限らない。もし犬とかだったら、開けた途端に噛み付かれる。人間だったら、こんな目張りはしない。中が人で、かつそれを隠すために目張りをしているなら、それは生きてる人間じゃない。死体だろ。今動いたってことは、中身が人間じゃない可能性の方が高い」
「でも、人間だったら?」
「だから穴を開けて空気を入れてやる必要があるが、そこまでだ。警察が来るまで待とう」
皆が首を捻る。
「ここは道の上だ。何か普通じゃない事態なのは間違いないが、いったいこの箱は何なのだろう」
「困りましたね」

男4人が首を傾げながら、箱を前にしてじっと立っている。

ここで覚醒。