書籍の梱包と発送に追われる毎日で、少し疲れるとその場で倒れて、そのまま寝込んでしまいます。
これは昨日の午後に居間の床で寝転んだ時に観た夢です。
アパートの部屋で映画を観ている。
六畳ひと間の部屋で、どうやらオレは学生らしい。
部屋の中は昭和の雰囲気で一杯だ。
玄関の方で物音がした。
「え?」
オレは独り暮らしなのに。
不審に思い、襖を開いた。
すると、玄関の三和土のところに男が立っていた。
60歳前後のオヤジジイだ。
「あんた、誰?」
自分の部屋の中なので、ここは乱暴な言い方をしても良いよな。
男が「にっ」と愛想笑いをした。
「驚いた?それならスマンね」
その男は上品なスーツを着ていた。
「なんでオレの部屋の中に入り込んでるの?だいたい、どうやって入ったわけだよ」
男はひとつ頷くと、中に入って来ようとする。
「おい。入っても良いって言ってないよ」
これで男が動きを止めた。
「他人じゃないんだから、そう怒るなって」
さすがにカチンとくる。
「何が他人じゃないだ。オレにはあんたみたいな家族も親戚もいない」
男が姿勢を正す。
「あたり前だが、やっぱり分からないよな。でも、私は君とは他人じゃない。それどころか、一番近い存在だ」
「それじゃあ、いったい誰だって言うんだよ」
男がふたたび「にっ」と笑う。
「私はね。君自身だよ。君の40年後の姿だ」
オレは元々、短気な方だ。すっかり頭に血が上った。
「ひとの部屋に勝手に入り込んで置きながら、わけの分からないことを言う。そんなヤツは殴られても文句は言えないぞ」
これから殴るから、それが嫌なら出て行けという意味だ。
「それじゃあ、私は遠藤由美子の父親です、と言った方が良かったのかい」
「え」
思わず、オレは動きを止めた。
遠藤由美子とは、オレが付き合っている彼女の名前だった。
「そうなんですか?」
さすがに軌道を修正して、丁寧な口調になる。
「少なくとも、まったく見ず知らずの者ではないと分かったね。なら、少し落ち着いて話をしようか」
男は当たり前のように靴を脱ぎ、部屋の中に上がって来た。
「今日、私がここに来たのは理由がある。すぐに決断しなくてはならないが、それには君に意見を訊くのが良いと思ってここに来たんだ」
「はあ」
「私は君のことを何でも知っている。君自身より詳しいかもしれない。でも、判断がつかないんだ」
「どんなことですか」
うっかりオレはその男に興味を持ってしまっていた。
その男が、オレの母親にどこか似ていたせいだった。
「これから、君と一緒に幾人かの人に会う。その人たちの姿を見た上で、君の意見を聞きたい」
ここで男は畳の上に腰を下ろした。
「君は『クリスマスキャロル』って話を知ってるだろ」
ここで中断。
長い夢で、これから3人のゴーストならぬ、3人の知人のところを回ります。
夢の記憶を整理する必要がありそうです。