日刊早坂ノボル新聞

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◎早坂アンナ『不来方情夜』 内容紹介(告知)

◎早坂アンナ『不来方情夜』 内容紹介

(大まかなあらすじ)
 奥州岩手郡(いわてのこおり)日戸(ひのと)郷の侍・日戸佐助は郷里への帰路の途中で、女盗賊の紅蜘蛛の一行を目にする。紅蜘蛛は総勢四騎でどこかに向かうところだった。
 盗賊を捕縛すべく佐助が密かに後を尾(つ)けると、紅蜘蛛らは新庄にある薄山(後の岩山)の中腹に上った。
 そこには巨大な卵形の物体が落ちており、盗賊たちはそれを見に来たのだった。
 佐助はこの近くの不来方(こずかた)城に支援を乞い、盗賊たちを取り囲んだ。
 しかし、その大卵は空を飛ぶ船(宇宙船)だった。
 佐助が紅蜘蛛を捕縛しようとしたちょうどその時、大卵の主がその場に戻って来る。
 卵の主は若い女だったが、佐助や盗賊たちの目前で姿を変え、巨大な鬼に変じた。
 この鬼が怖ろしく強い。あっという間に侍三十人が殺された。
 弓や刀では到底この鬼に歯が立たぬ。
そこで、佐助はひとまず紅蜘蛛と手を組み、不来方城で鬼を迎え討つことにした。

 この不来方は、かつて鬼が現れたという伝説を持つ因縁の地だ。
 城内に鉄砲隊を控えさせ、佐助と紅蜘蛛が待ち構えていると、女の姿をした鬼が門扉を叩いた。
 鬼は紅蜘蛛の侍女を殺し、その姿に化けて襲いに来たのだ。
 紅蜘蛛はかつて兄たちと共に、この鬼と戦ったことがある。
 鬼はその時に身内を殺された恨みを忘れてはおらず、紅蜘蛛を追って来たのだ。
 鬼はまんまと城の中に入り込み、それから直ちに、人と鬼との血で血を洗う戦いが始まった。

 紅蜘蛛は兄である赤平虎一が鬼を倒した時のことを憶えていた。
 その記憶を頼りに、紅蜘蛛は鬼の弱点を見つける。
 鬼との死闘の中、いつしか佐助と紅蜘蛛は互いに敵味方であったことを忘れ、一致協力して鬼に立ち向かうのだった。

(備考)
 本作は、早坂昇龍作『峡谷の怪物』の後日談となります。(ジャンル的には伝奇小説に入ります。)
 「早坂アンナ」は、昇龍夫妻の共同ペンネームで、原案とデザインを妻・アンナが、また文章の構成クを夫・昇龍が分担するものです。執筆代表者名は「早坂アンナ」となります。
 今回、未公表の作品『不来方城戦記』を大幅に書き改め、『不来方情夜』と改題しました。

 本作は、本年5月より盛岡タイムス紙にて連載開始となります。

(昇龍によるひと言解説)
 『峡谷の怪物』のコンセプトは、『遊星からの物体X』のあの異星人が、もし戦国時代の日本に飛来していたら、さてどうなる?、というものでした。
 本作はそれを引き継ぎ、鬼(異星人)が前回の復讐のため紅蜘蛛を追い駆ける、という構成になっています。
 強大な敵に立ち向かうため、本来は敵同士である日戸佐助と紅蜘蛛は、ひとまず休戦し共に敵と戦います。
 その戦いを通じ、二人の間には、次第に仲間意識のようなものが芽生えて行くのです。
 そうです。想像がつく通り、本作は『リオ・ブラボー』⇒『要塞警察』といった物語ラインを踏襲するものです。当初は善玉悪玉に分かれていましたが、終盤では「皆が良いヤツ」に変貌します。

 物語全体としては、昇龍作品の「盗賊の赤虎」シリーズに属する物語となります。
 このシリーズは映像化を意識して書き続けている作品群ですので、何とか早く取りまとめたいものです。映画になったら、さぞ楽しそうな素材です。
 紅蜘蛛お蓮は、『九戸戦始末記 北斗英雄伝』や「盗賊の赤虎」シリーズの登場人物。
 日戸佐助は、『山吹の花が咲く頃』に登場しています。
 赤平虎一は、今回は脇役(本人ではない)でしたが、常に存在感があります。