日刊早坂ノボル新聞

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夢の話 第504夜 抜き打ち試験

夢の話 第504夜 抜き打ち試験
1日の午前0時ごろに観た夢です。

目を開くと、建物の前に立っている。
「ここはどこで、オレは誰なんだろ」
いつもながら、途方にくれる。
建物は古いつくりで、明治時代の洋館だった。
玄関に向かうと、扉には大きなガラス窓が嵌め込んであった。
そのガラスにオレの姿が映る。
学生服を着た若者だった。

建物の中に入る。
うっすらとした記憶を頼りに、3階に上る。
長廊下の片側には教室が並んでいた。
「オレの教室はどこなんだろ」
ゆっくりと廊下を歩く。
どの教室にも学生がいて、なにやら話をしていた。
「休み時間なのか」
とぼとぼと歩き続ける。

3つ目の教室の前を通りかかると、出入り口から女の子が顔を出す。
エツコちゃんだ。
「あら。遅かったじゃない。今日はテストだってさ。皆、大慌てだよ」
オレの教室はここか。
「抜き打ちかよ。酷い先生だな」
英語の試験など、何十年ぶりだろ。
「カミサンが外人だけに、会話ならともかく、いまさら筆記はきついよな」
カミサン? 高校生のオレに「カミサン」はないよな。
教室の中に入って、エツコちゃんの隣に座る。
「辞書を見ても良いんだってさ」
オレは突然、この世界に舞い降りたのだから、辞書なんて持ってねえぞ。

考える間もなく、教師が入って来る。
「では今日、明治30年4月29日の英語の試験を始めます」
メイジサンジュウ年!
おいおい。そりゃないだろ。その時代なら、男女共学のこんな高校はない。
「高等学校」そのものが存在しないだろうに。
「なるほど。こいつは夢か」
オレの夢はいつもリアルだから困る。
でもま、今を乗り切るしか道はないわけで。

教師が試験問題を配る。
A4大の紙1枚に、びっしりと英文が記されていた。
「オレは目が悪いんだよ。視力テストじゃ、両目とも1.2だが、実際ははるかに下だもの。白内障だって持っている」
目がチカチカする。
試験用紙に目をくっつけるようにして、冒頭の1行を読む。

Ever since I was a child, my inherent recklessness has brought me nothing but trouble.

ありゃ、どっかで聞いたことがあるなあ。
確か、「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている」。そんなひと節だ。
「これって『坊ちゃん』だよな」
明治三十年の試験に『坊ちゃん』の英訳が出たりするわけなの?
まあ、とにかくラッキーだ。
オレはこの話なら、何度か読んでいた。
周囲は明治時代の生徒なので、こいつを読んでいない筈だから、オレの方がだいぶ有利だ。
この辺は下働きの「清」に絡んだ話が中心だっけな。

だいぶ気持ちに余裕が出てきた。
はっはーだ。
「そう言えば、『坊ちゃん』って、英訳では何だっけか」
マスターどうのとか、ロード何とかだったような気がする。
主人の家の子だよな。

ここでオレは窓の外に顔を向けた。
ここは3階だから、校庭の端っこまでよく見える。
校庭を囲む並木は全部が桜の木で、今が満開だった。
「ここは東北の北の方か、北海道なんだな」

ここで覚醒。
誰もが時折観るであろう、差し迫った試験の夢です。
過去の事実に近い内容なら、既に驚かなくなってしまっているので、時代を変えているようです。
ちなみに、英文の最初のほうも、30行くらい見えたのですが、検索すると、概ね合っていました。
英文では読んだことがないはずなのに、こういうのは不思議です。
まあ、どこかで記憶に刷り込まれていたのだろうと思います。