日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第534夜 遊園地で

◎夢の話 第534夜 遊園地で
 12日の午後11時に観た夢です。

 夢の中の自分が誰なのかは分からない。
 唐突に郷里より電話があり、「叔父さんが再就職した」とのこと。
「あんたの家から近くだから会いに行けば?」
 叔父が就職したのは遊園地で、遊具の管理を任されているらしい。
 引退後にやる仕事としてはソコソコ面白いかも。
「そういう仕事の人の生活観とか人生観はどうなっているんだろ」
 早速、出掛けることにした。

 翌日、遊園地に入ると、叔父の担当はジェットコースターだった。
 遊具の入り口に叔父らしき人が立っていたので、近付いて声を掛けた。
 このとき、叔父はマスクにめがねを掛けていた。
「こんにちは。調子はどうですか?」
 ところが、叔父は「は?」と怪訝そうな顔をした。
 甥の事が分からないような様子だ。
「外は寒くないですか?」
「いや。大丈夫だよ」
 どうにもよそよそしい。
「ここの担当なんですか?」
 誰か分からないなりに、こっちが知り合いだと踏んだのか、叔父は話を合わせようとした。
「そうだよ。このチェットコースターが俺の担当だね」
 え。「チェットコースター?」だと。
 果たしてそういう言い間違いをするもんかな。
 頭の中で、疑問がぐるぐると渦巻く。
「コイツは叔父そっくりだけど、叔父じゃないのかも」
 「チェ」「ヂェ」「ジェ」「シェ」の区別がつかないのは、まずはタイ人だな。
 日本人がLとRの区別がし難いように、タイ人はこれらの音の違いを知覚出来ない。
 あとは、「北」の人間だ。
(コイツ。もしかして、叔父になりすましたスパイなのかもしれんな。)
 叔父はオレと違ってアレルギーなどなかったはずだし。
 
 オレが疑惑を抱いているのが顔に出ていたらしい。
 急に、「叔父もどき」がオレをとりなし始めた。
 「この仕事は結構キツイんだよ。外に出ずっぱりだからね」
 ま、朝から夕方まで外に立っているとすると、確かに体は冷えるだろう。
 「その分、飲み物はタダで幾らでも飲めるけどね」
 季節がら乗り場には客がほとんどいない。
 この回のコースターを発進させると、叔父は「ちょっと待ってて」と言い残し、事務員用のボックスに入った。
 戻って来た叔父は、両手に缶の飲み物を持っていた。
 「ほら。コーンスープだよ」
 オレにひとつを手渡すと、先に自分が「プシュ」っとプルトップを引いて、飲み始めた。
 ま、好意だろうから、付き合っとくか。
 オレも缶を開けて、スープをひと口ふた口飲んだ。

叔父はオレの様子をじっと見ていたが、ポツンと呟いた。
 「座った方がいいよ。すぐに眠くなるから」
 え?どういうことだよ。
 そう思った時には、既に頭が朦朧としていた。
 「そこのベンチに座りな」
 コースターの後ろは、何かの見世物小屋があり、その前にベンチが置かれていた。
 叔父はオレの腕を取って、そのベンチまで連れて行ってくれた。
 オレの方は歩くのもやっとだ
「もしかして、さっきのスープに何か入っていたんじゃないのか」
 でも、この叔父もどきだって、飲んでいたよな。
 オレが考えられたのはここまでだった。
 腰を下ろした後、一瞬にして、オレは気を失ってしまった。

 「冷たい」
 体中が冷たいので、オレは眼を覚ました。
 瞼を開くと、テントの天井が見える。
 「ああ。ここはあのテントの中だな」
 そのテントの中で、オレは診療用ベッドに横たわっていた。
 服は着ておらず、何だか白っぽいドロドロに体が包まれている。
「こいつは・・・。石膏だな」
 オレの体の型を採っているらしい。
 「なんでまた、こんなオヤジの型を採るんだろ」
 ま、簡単な話だ。オレの外見とまったく同じ複製を作ろうとしているわけだよな。
「なるほど」
 あの「叔父」はやっぱり「叔父もどき」で、本物じゃなかったわけだ。
 「納得している場合じゃないぞ」
 複製が出来たら、本物は不要になる。
 そうなったら、殺して廃棄処分にするのが普通だ。
 「それじゃあ、タイ人でも北のスパイでもないじゃんか」
 宇宙人か?

 その時、テントの中に2人の男が入って来た。
 妙に表情の乏しい男たちで、ぎこちない。
 「こいつらも複製人間だよな」
 何か声を上げようとしたが、すぐに口を塞がれた。
 歯医者で歯形を採るときのゴム剤みたいなヤツで顔を覆われたのだ。
 「うえ。冷てえ」
 手足は縛られており、身動きが出来ない。
 こりゃ万事休すだよな。

 絶体絶命とはこのことだが、しかし、オレの頭は妙に冷静で、まったく別のことを考えていた。
「オレの顔には髭が生えている。このゴムだか石膏だかを外すときに、びいっと髭が引っ張られて痛いだろうな」
それどころではない筈なのに、今起きていることが、なんだか遠い世界の出来事のように思える。
 ここで覚醒。