日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第567夜 転校

◎夢の話 第567夜 転校
 27日の午後5時に観た夢です。

 意識が戻ると、オレは教室の中に居た。
 教壇に教師がいて、オレのことを見守っている。
 オレは机の間を歩き、教師に言われた席に座った。

 周りを見渡すと、どうやらここは高校らしい。
 30人くらいの生徒が机を並べ、前を向いていた。
 「ははあ。オレって転校して来たのか」
 ようやく周囲の状況が見えて来た。

 オレの父親は、仕事の関係から、転勤がやたら多い。
 小学校の頃から、今に至るまで、20回以上は転校したと思う。
 この街だって、前に住んだことがある筈なのに、まったく思い出せない。
 確か小学校の低学年の頃だったよな。

 「教科書が届くまで、隣の斉藤に見せて貰うように」
 隣を向くと、女子がオレの方に体を寄せ、教科書を開いた。
 古文かあ。オレの苦手な科目だよな。
 担任はこの教科の教師のようで、べらべらと授業を始めた。

 「コージ君。久し振りね」
 隣の女子が話し掛けて来た。済まし顔で、全く愛想がない。
 「え。オレのことを知ってるのか」
 全然、記憶にないぞ。
 「小学校の1年生の時に同じクラスだったわよ」
 そこで、オレは顔を横に向けて、その子を見た。
 色白で、中肉中背。きりっとした顔立ちだ。
 「・・・」
 正直、全く憶えていない。
 オレが黙っていると、その子がこっちを向いた。
 「コージ君。私のことを忘れちゃったの?」
 
 おいおい。オレは「同級生」が千人はいる。
 いちいち憶えていられるかってえの。
 だが、その子の整った顔立ちを見ているうちに、子どもの顔が浮かんで来た。
 小さくて、色黒だった女の子だ。

 「あ。お前は斉藤こづえだ。『おしめ』のこづえじゃないか!!」
 思い出した。
 この子は、オレの家の三軒隣に住んでいた同級生で、1年生になってもおしめを付けて学校に来ていたのだ。
 こいつは、有名なタレントと同じ名前だったから、オレの記憶にも残っていた。
 「おしめのこづえ。随分でかくなったなあ」
 身長は160センチ台後半だし、ほっそりとした体型だ。
 これがまさかあの「こづえ」とは、誰も気が付くまい。

 「ちょっと、ちょっと。やめてよ」
 斉藤こづえが慌てて、オレを押し留める。
 さすがにニックネームが「おしめ」では、今の同級生には都合が悪い。
 ここで担任がオレたちに気が付いた。
 「どうした?何を騒いでいるんだ」
 オレは顔を上げ、教師に告げた。
 「いえ。何でもありません。今日の学習箇所を聞いているだけです」
 「そっか。声を落としてくれよな」
 「分かりました」

 オレとこづえは体を寄せて、周囲に目立たぬように小さくなった。
 オレの顔のすぐ近くに、こづえの顔がある。
 何だか、もの凄くいい匂いがする。
 髪に着いたシャンプーの匂いだな。

 「ありゃりゃ。オレはこいつと公園を散歩したり、野球を観に行ったりするようになるかも・・・」
 そんな予感がした。
 オレはそんなことを想像しながら、こづえの横顔をじっと眺めている。

 ここで覚醒。