日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

夢の話 第642夜 最期の惑星

夢の話 第642夜 最期の惑星
 15日の午後11時に観た夢です。

 仕事納めの日に、臨時ニュースが流れた。
 「今日であらゆる公共放送が終了します。最後に陛下からご挨拶を頂きます」
 最後の放送には総理大臣より陛下の言葉の方が似つかわしい。
 やはりこの国は陛下が中心なんだな。
 「残された時間はあと僅かです。皆さん、家庭に帰り、最後の時を迎えるようにしてください」
 この日の正午をもって、あらゆる役所や会社が仕事を停止する。
 テレビやラジオ、インターネットの総てが機能しなくなるし、電車やバスも動かなくなる。既に一般の国民は、各々の家に戻っている筈だが、俺たちは公務員だから、最後まで勤務していた。

 俺は役所を出ると、バイクに乗って家に向かった。
 道路の上には、乗り捨てられた車が多数散らばっているから、もはや車での移動は出来なくなっていた。それでも、若者は今の状況が理解出来ないのか、真っ暗な道路に車を乗り出しては、事故を起こした。
 今も遠くの方で、車が衝突する音が聞こえる。
 灯りがまったく無いし、道は廃棄車だらけ。そこをスピードを上げて走ったら、5分と進まぬうちにぶつかってしまう。
 「バカな奴らだ。もう救急車なんか来ないのに」
 俺はライトを上げ、慎重に運転した。
 もはや昼の12時でも暗いままだから、よほど注意が必要だ。
 「あと数週間で、暗黒夜に入る。そうすれば、こちら側の総てが凍りついてしまう」

 今の状況が分かったのは2ヶ月前だ。
 2月を過ぎ、3月になっても、北極の夜が終わらない。
 まったく日が長くならないどころか、逆に短くなって来た。
 研究者が集まって、今の事態を調べたところ、地軸がゆっくりと傾いて、公転軸と直角に近い角度まで倒れていることが分かった。
 何か宇宙規模の変動が起き、その影響でそんなことが起きたのだ。
 もし太陽の公転軸に対し、地軸が直角に対するようになれば、昼はずっと昼のままだし、夜はずっと夜のままだ。
 昔、「地球が静止する日」という映画があったが、突然、地球が静止したら、地上の諸々の物は遠心力で投げ出されてしまう。とんでもないスピードだから、地球は壊滅だ。
 今回の変動は、地軸の角度が徐々に変わる変化だから、直ちに壊滅するわけではなかったが、しかし、人類が滅亡の時期を迎えるのは間違いない。
 日の当たる半分は灼熱の地獄だし、当たらないもう半分は氷の煉獄だ。片方は摂氏百度を超え、片方ではマイナス百度となる。そうなると、どちら側でも、生き物が生き残るのはほぼ不可能だ。

 「だが、それ以前に台風にやられるから、もはや終わりは近い」
 地球の半分が高温となり、半分が低温となる。すると、暑い方では熱帯性低気圧が発生し、すぐさま台風となる。これが寒い北半球に何百と来襲する。
 北は日一日と冷えて行くのに、頻繁に台風が来て、雨風で建物を押し流す。
 低地の街は既に壊滅して、今、まともに残っているのは高地にある数箇所だけだった。
 そんな街のひとつに政府が移転され、生き残り対策が協議されたが、結局、変化のスピードについていけないことが分かっただけだった。
 地下のシェルターに隠れれば、幾らかでも生存者が残りそうなものだが、相手は気候だけではない。
 世界中に原発があるが、核燃料を処理することが出来なくなる。
 灼熱半球ではメルトダウンする恐れがあるわけだが、もはやそれを防ぐ手立ては無い。
 氷結半球では、そのまま海に投げ出せば、燃料を冷やすことが出来るのだが、それも数ヶ月の間だけだ。
 そうなると、あらゆる意味で、程なく「人類の終焉」を迎えることになる。

 「今は台風の合間だから、こうやってバイクで移動出来る。でも早く帰らないとな」
 もはや三日に一度は台風が来る。それが去った後はほんの少しの間、暖かいし、雨風も少ない。だが妙に静かで、気持ちが悪い。
 バイクのガソリンが切れ、俺はバイクを乗り捨てることにした。
 そこから家は3キロ程だから、歩いてもすぐに着く距離だ。
 俺はここでジャケットの上からポケットの中を確かめた。
 「ああ。ちゃんと忘れずに持っていた」
 
 ポケットの中には、役所で配給された薬がある。
 薬は睡眠薬で、いずれ程無く世界が凍りついたら、家族で一緒に飲む。
 そのためのものだった。
 「俺はまだ幸せな方だよな」
 少なくとも、妻子と一緒に最期の時を迎えられる。
 ここで覚醒。

 映画の『渚にて』のような物悲しい夢でした。
 なるほど。暗黒の世界は、選挙の後の日本の姿ですか。
 このまま自民党が勝ち、安倍総理が居座ったら、それこそ暗黒の社会が待っている。
 夜が明けなくなるわけです。

 安倍総理の言葉には嘘が多いが、誰も気付かないのか。
 なるほど、「振り込め詐欺に何億円も引っ掛かるような国民性」だと痛感します。