日刊早坂ノボル新聞

日々のよしなしごとを記しています。

◎夢の話 第646夜 結婚式

◎夢の話 第646夜 結婚式
 11日の午前3時に観た夢です。

 畑を見回りに行くと、金網のフェンスが破られていた。
 その傍に農夫らしき爺さんが立っていた。
 黒人の使用人だ。
 「ウシイノシシが入ったようでがすよ」
 ウシイノシシ?なんだそりゃ。聞いた事がないぞ。
 「それじゃあ、早いとこ探さないと、うちのマンゴ畑が食い荒らされてしまう」
 すると、すぐ近くの藪の中からガサガサという音がした。
 もしかして、すぐ近くに・・・。
 藪が掻き分けられ、音の主が姿を現した。

 「何だよ。イノシシじゃなくて、サイじゃないか」
 現地語ではウシイノシシだが、世間一般的にはサイと呼ぶ。
 そのサイが小さい目をこっちに向けた。
 サイは確か目が悪くて、相手が敵か味方かが良く分からない。そこで、視線が合うと襲って来るんだったな。
 目を伏せるべきだが、しかし、もはやバッチリ見合っていた。
 ヤバイ。
 俺は急いでその場から逃げようと後ずさりした。横を見たが、使用人はとっくの昔に走って逃げていた。
 「バカヤロ。背中を見せて走ったら、追い駆けられるだろ」
 この辺、サイと熊とがごっちゃになっている。
 本能が背中を押して、俺も思わず走り出した。

 しかし、サイのスピードには敵わない。
 畑から道路に出たところで、追いつかれてしまった。
 見る見るうちにサイの姿が迫って来る。
 「ああ、ダメだ。やられる」
 ここでサイは確か、急には曲がれないことを思い出し、後ろを振り返った。
 体に当たる直前で横に飛べば、直進するサイを避けられる。
 ところが、そんなに甘くない。
 サイは俺が避けようとする方向に目を向けている。
 「さすがだ。野生動物は天性の勘がある」
 危急の時なのに、俺は思わず感心していた。
 サイが俺の腹に角を突き立てようとすると、横から「ダアン」と音がした。
 それと同時に、サイが真横に跳ね飛ばされる。
 道路を長距離のトラックが走って来て、サイを跳ね飛ばしたのだ。
 まさに映画でよく観る場面で、間一髪のところで主人公が助かる・・・。
 はずだったが、サイの角が俺の腹のところに届いており、俺も一緒にごろごろと地面を転がった。
 「イテテテ。肋骨が2本折れたじゃないか」
 呻いていると、あの使用人が近付いて来た。
 「良かったじゃないですか。命があって」
 こいつめ。声を出さずに置き去りにしやがって。

 「ボス。起きて、そろそろ式に行かないと」
 「式?何それ」
 「結婚式ですよ。もうすぐ始まりますよ」
 細かいことを聞いている暇はないらしい。
 俺は急いで、家に戻った。

 礼服に着替え、慌てて式場に向かう。
 式場は教会で、既に神父や礼服姿の人々が集まっていた。
 歩きながら、俺は近くにいた者に尋ねた。
 「ところで、今日は誰の結婚式なんだよ。息子か。それとも娘?」
 執事みたいな男だったが、そいつが苦笑いを漏らした。
 「社長。ご自分のですよ」
 ここで俺は、「俺たち夫婦は結婚式を上げていなかったから、30年目の節目の年に簡単な式だけでも挙げておこう」と決めたことを思い出した。
 そっか。俺のだったか。
 祭壇の方を見ると、花嫁が待っていた。
 しかし、俺はそこで足を止めた。

 「ありゃ。あれは誰だよ。女房じゃないぞ」
 そこに立っていたのは、俺の妻ではなく、見知らぬ女だった。
 若い女だが、妻とはまるで違う。
 その女が俺のことを見る。

 「コツ・コツ・コツ」
 ノックの音がして、眠りから目が覚めた。
 玄関の扉を誰かが叩いたのだ。
 右手の肉月のところで3回叩いた。そんなことまで伝わって来る。
 「ありゃりゃ。今年はこういうのがまるで起きなかったから、無くなったと思っていたが」
 なるほど。さっきの夢に出て来た女は、俺に付きまとっていた女の幽霊というわけだ。
 「戻って来ようとしているのか」
 襖が開いており、隣の部屋で寝ている息子の姿が見える。
 「うう」とうなされていた。
 「こりゃ本物だ」
少しゲンナリする。また本格的に始まるのかもしれんからだ。
 「でも、それって『前と同じ』ってことだよな」
 それじゃあ、別に構わんだろ。

 俺は寝直すことにして、再び居間に戻った。
 毛布を被ると、すぐ眠りに落ち、夢を観始めた。
 教会での結婚式。さっきの夢の続きだった。
 花嫁が振り向く。
 すると、今度は現実の妻だった。
 「良かった。今度はお前だ」
 その言葉に妻がすぐさま反応した。
 「今度?じゃあ前は誰だったの?」
 「はは。幽霊だよ。時々、俺の写真に顔を出すやつがいるだろ。あの女」
 「そうだったの」
 妻はニコニコ笑っている。
 若い頃の妻なので、今より20キロは細い。
 「ああ。こいつと結婚して良かったな」
 俺は安心して、神父の方に向き直った。
 ここで再び覚醒。

 ノックの音がはっきり聞こえたのですが、寝ている時なので何とも言えません。
 もう少し、静かな時間が延長されて欲しいのですが。