◎扉を叩く音 (続)
毎年、「秋から冬に、深夜、玄関の扉をノックする音が聞こえる」話の続きです。
26日午前2時半の記録。
居間でテレビを見ているうちに眠くなり、そのまま毛布を被って寝ていた。
テレビの前にはカーペットヒーターが敷いてあるから、こいつにスイッチを入れれば、寒さを感じない。
夏はクーラーが真上だし、冬はヒーターが真下だから、1年を通じてここで眠ることが頻繁にある。
夢を観ている途中で、耳元で音がした。
「ふううう」
声ではなく、吐息の音だ。
そのせいで、次第に眠りから覚醒し、薄らぼんやりと意識が戻って来る。
すると、もう一度吐息の音が聞こえた。
「ふうううう」
これで目が覚めた。
ごく稀に、家人や娘が隣に横になっていることがある。
それほどここは暖かくて心地良い。
だが、目覚めてみると、居間には誰もいなかった。
「てっきり、誰かがいると思ったのに」
親族であれば、気配でそれとなくそれが「誰か」分かるのだが。
分かるのは、ただ一つで、それが「女」だということだけだ。
最近は本当にこれが多い。
台所のカウンターの陰に人の気配があったり、洗面所で顔を洗っている時に後ろに立たれたり。
背後に立たれると、さすがに気色悪いので、最近は歯磨きを台所でするようになった。
今日は私が横になっている、その隣に同じように横になり、私の顔の近くに顔を寄せていたようだ。
息の出所は、十センチかそこらの距離だった。
画像やらで起きていることと符合するから、何となく納得した。