◎天命通宝の写し
この品は岩手県の雑銭から発見しました。
天命通宝は、元々、後金時代の貨幣で、漢文と満文があります。
この品は、和式の砂笵で製作されていますので、日本で鋳写されたものであることは疑いないのですが、問題はそれが行われた時代です。
地金が赤い色をしており、
・中世、すなわち和鋳鐚
・幕末の南部地方、という判断があります。
輪側の鑢痕を見ると、主に斜め方向に向けて、極めて雑に掛けられています。
類品が少ないので、確たることは言えないのですが、幕末のものであるように見えます。
鐚の場合は、満文の貨幣は通貨として使用しにくいので、極力避けられた、という要素もあります
裏面の色には、若干、紫が入っていますので、八戸方面のものである可能性があります。
なお、盛岡・八戸の南部地方で作られた場合、当品は貨幣ではなく絵銭という解釈になります。